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『花龍神話』

 

四龍(スーロン)島シリーズ、三十一冊目は、「花龍神話」。

番外編としては、六作目となります、このお話は短編集となっております。

過去のマクの少年時代のエピソードを描いた「柘榴石」、雷英(リーイン)視点による飛(フェイ)くんの少年時代が描かれる「花月房挿話」、

飛くんが花路(ホワルー)入りした経緯を描いた「夜来香(イエライシャン)」、現在のマクと飛くんを描いた表題作「花龍神話」の豪華四本立て!

「花月房挿話」、「夜来香」の二作は、雑誌「Cobalt」に掲載されたものです。

例によって例の如く(?)飛くんを中心としたレビューをお届けいたします。

つまり、「柘榴石」からのピックアップはあまり御座いませんので、その点、ご容赦くださいませ(苦笑)。

 

まずは、表紙イラストに対して語るのが、セオリーとなっておりますが、

今回の表紙イラスト(描き下ろしの一色イラストも含む)は、「?う〜ん…(汗)」という感じであります。

浅見さんったら、一体どうしちゃったの?!と、危ぶんでしまうくらい、浅見さんらしい美しさが足りないイラストでした。

見られなくはないんですがね、やはり今までのイラストと比べると正直、質が違うというか。

四龍島は、真堂さんの創り出すお話は勿論ですが、浅見さんの美しいイラストも大きな魅力のひとつです!!

今後もこんな風だったらどうしよう!!(汗)とも危ぶんでおりましたが、

次作では、浅見さんらしい美しさがほぼ戻ってきていて、ホッとしたものです(笑)。

…とまあ、今回はそんな表紙イラストでした(苦笑)。

 

本土、紅海(ホンハイ)の港近く。

外国人居留地で催された夜会に、婦人客の宝石を狙う盗賊団が押し入った。

叫び声と銃声の響く中、あやしい男と出くわしたマクシミリアンは、気まぐれから男の拳銃を預かったのだが…。(「柘榴石」)

底知れぬ闇を抱えながら白龍(バイロン)を統べるマクシミリアンと、彼とともにあることを選んだ花路の頭(トウ)・飛。

ふたりが出会う以前から現在までを4つの物語で綴ったスペシャル外伝集!

 

                                                     (文庫折り返し部分より)

 

…とまあ、「柘榴石」は、マクに拳銃を預けることになった盗賊の男、石榴(シーリウ)が、マクにちょっかいを掛けてきて、

外の世界に連れ出してやろうかと誘いを掛けてくるのです。

マクもちょっとその誘いに惹かれるのですが、

結局は、誘った男も、異父妹への愛憎入り乱れる感情でがんじがらめとなっていて、

虚しさと退屈に倦んでいるマクを解放するには役不足だった…と、大体は、そんな感じの話だと思います。

がんじがらめで最終的には自らの頭に銃口を押し当てる羽目となった石榴と、

異父兄を慕い、彼の盗みの助けとなるよう、進んで居留区長の愛人となった妹との対比が印象的です。

妹の方は、自分の境遇を全く窮屈だとは感じていないんですよね、自分で選んだ立場だから。

石榴の心を自分に向けさせるために、兄を却って追い詰めていると薄々感じていながらも(?)、愛人との間に出来た子供である彼に、

親としての愛情を注いでくれることのなかった美しい母親と、自分の容貌が似ていることを殊更強調したりなどという、

さり気なく残酷なこともしているのですが、兄への一途な想いが根底にあるゆえか、それほど嫌な印象は受けません。

…凄い女性だなあとは思いますがね(苦笑)。

マクは、少年時代も今とあんまり変わらずで。

母親に存在を無視され続けた過去が、マクの飛くんに対する執着を凄まじくして、

ことあるごとに「余所見をするな」と言わせるのでしょうなあ…(汗)

しかし、この頃は、女装が似合う体型であったらしい(笑)。

んが!このお話の一番の見所は、60頁〜61頁の、少年マクと、ちびっこ飛くんのニアミスです!!

茶房の前でてきぱきとお掃除している飛くんと、そんな彼を優しく店の中へと引き入れる師父の様子を、

マクが全く別世界を眺めるように目にするという場面。

そんなふたりが年を経て出会い、恋に落ちる(笑)とは、運命とは不思議ですなあ…

マクはきっとあれが飛くんだと思わないどころか、この出来事すら忘れていそうです。

しかし、思い出せなくとも、心の片隅には残っていたりとかはしそうだ…

何だかんだで、結構「柘榴石」について語ってしまいましたな!(笑)

 

「花月房挿話」は、本土の東州茶房が舞台。

父(黒党羽老頭(ヘイタンユイラオトウ))の指図で、茶房に入り、飛くんと共に暮らすことになった雷英の、

限りなく恋に近い飛くんへの想いが語られています(笑)。

出会ったばかりの頃から飛くんを「まるでそよ風にも堪えないやわらかな花のような」(120頁)と、感じていた雷英。

雷英は十六の頃からポエマーだった!!(笑)

それから二年経ち、目の見えなくなった師父の代わりに、武術の指南をするようになってからも、

彼の飛くんに対するそんなイメージは拭われないでいました。

飛くんの優しい清らかさを危うく感じていたところ、雷英は師父から、飛くんの背中に刺青を彫るように命じられます。

飛くんの背中に元からある小さな花芯の紋様の刺青(花紋)を、本人に気付かれぬうちに隠すためにです。

その命に戸惑い、「かよわい少女を力ずくで腕に閉じ込めるような気分」になり、

「野に咲く花のしなやかな茎に手をかけて、いたずらにへし折るような、むず痒い罪悪感」(133頁)を覚えてしまう雷英。

幼さがあるだけに今よりも一層少女めいて、ベリキューな飛くんを前にして、無理はないとは思うのですが…

…かなり変態臭溢れる表現です(笑)。

流石ヘンタイユン!←ホントはヘンタイユンではなく、ヘイタンユイ(黒党羽)が正解(笑)。

そんなこんなで、なかなか師父の命を実行できずにいた雷英でしたが、茶房に盗賊が押し入った折に、飛くんが見せた思わぬ強さと、

甘過ぎて危なっかしいと感じるばかりだった優しさが、却って彼の強みになった場面を目の当たりにして、考えを改めます。

その後の立会いで、再び飛くんがただか弱いばかりの花ではないと確信した雷英は、

初めて飛くんが得た立会いでの勝利と引き換えに、その背に鮮やかで美しい神龍の刺青を彫るのです。

それからまた、数年を経て、雷英は、四龍島に師父と共に旅立つ飛くんと別れます。

別れ際、師父に出会った頃から、飛くんに淡い恋をしていたのだと告白する雷英に、

師父は、ならばおまえは自分の恋敵ですねと穏やかに応えます(笑)。

去っていく舟を見送りつつ、雷英は見守り続けた花(飛くんですよ)が早く咲くことを願うのでした…

もう、何か堪らない!!(笑)

雷英視点の話って、なんでこんなにドリーム満載で、変態指数が高いんだろう?!(大笑)

しかし、雷英が、飛くんに対してこれだけ年季の入った(約十年か?)恋心を抱いていたとするなら、

本編から「花影彼方」まで到る往生際の悪さも納得!

いや、むしろ「花影彼方」後も尚、飛くんに想いを寄せ続けているに違いないと期待(笑)しちゃいますですよ!!

 

・「花龍神話」ベストオブイラスト

 

此度のベストオブイラストは、「夜来香」からの一場面を描いたイラストです。

取り敢えず、その場面に到るまでのストーリーを追っていきましょう!

「大龍(ターロン)」と呼ばれたマク父が亡くなってから一年経った白龍市。

弟の老簫(ラオシャオ)が仕切るようになった街は、清々しい活気溢れる以前とは打って変わって、恐喝、賄賂、

詐欺などの悪事が横行するようになっていました。

白龍市の素封家の屋敷が立ち並ぶ界隈の龍江街(ロンチャンチエ)で、師父が開いた東州茶房で、

飛くんは本土にいた頃と同様、美貌の給仕☆として、店の手伝いをしながら、日々を過ごしていました。

酷い街の有様に、胸を痛めつつも、恩ある師父に、余計な心配さをせないよう、

悪事の現場を、他の者と同じように見て見ぬ振りをした飛くんでしたが、ふとした切っ掛けで、

花路の若者たち(孫(スン)とその弟分たち)と知り合います。

苦境にあっても、心根の真っ直ぐさを失わず、進んで弱い者を庇おうとする彼らの姿に心動かされた飛くんは、

先日老簫の用心棒に連れ去られたのを見過ごしにしてしまった娘を探しに、師父の許しを得て、夜の街へと出て行きます。

 

一方、花路では、羅漢(ルオハン)が頭の名を預かっていましたが、続く老簫の嫌がらせに不満を募らせる仲間たちに、

ただ我慢を強いることしか出来ず、自分の統率力の限界を感じていました。

右腕の葉林(ユエリン)に、代わりに花路を束ねてくれとまで頼みますが、葉林は頷いてくれません。

そんなときに、花路一の妓楼、梅雪楼(メイシュエロウ)で、再び老簫の雇った用心棒が嫌がらせを働き、

そこで茶房の使いで偶然訪れていた飛くんが、さり気なく助けに入ってくれるのです。

そんな飛くんを、近くある老簫の宴で花路側の舞い手として出す筈だったのが、これまた嫌がらせで老簫側に攫われてしまった娘と、

見誤って呼び止めてしまった孫(飛くんが美人だったから/笑)。

そこで、つい老簫に対する愚痴を漏らしてしまった孫を、後から来た羅漢が余計なことを言うなと殴りつけようとしますが、

飛くんが反射的にその拳を軽くいなしたことに、羅漢は驚きます。

飛くんが花路の若者たちに心動かされたのと同様に、飛くんの存在もまた、その場にいた花路の若者たちに強く印象付けられたのでした。

その後、夜市(イエシ)で、娘を探す飛くんと再会した羅漢は、彼と話をします。

そこで、真っ直ぐに偽りなく話す飛くんに釣られるようにして、羅漢もまた、孫と同じようについ、苦渋の想いを吐露してしまいます。

…何か、相手の気持ちを自然に引き出すことが出来るのは、飛くんの天性の才能なんだね!!と、ここで改めて思います♪

 

そして、宴の当日。

まだ、娘が見付からないままの花路に、老簫は変わりに頭が舞い手の衣裳を付けて出て来いと屈辱の命を寄越します。

耐え切れずに、老簫館に殴り込もうとする仲間たちを、再び殴って黙らせることしか出来ない羅漢。

しかし、最早仲間たちの不満は、そんなことでは抑えられないのは目に見えて明らかでした。

そこで、羅漢は仲間に告げずに、ひとりで老簫と刺し違えようと覚悟を決めて花路を出て行こうとしますが、

それを察した葉林に止められ、ふたりは一触即発の状態となってしまいます。

その状況を不安な面持ちのまま見守るしかない仲間たち。

そこに、行方不明の娘が龍江街と通りに、うち捨てられているのを見付け、保護した飛くんが知らせに駆け付けてきます。

しかし、娘は舞うことが出来ぬように、足を痛めつけられており、状況の好転は見込めません。

羅漢は飽きたから花路の頭を降りると嘘を付いて、再びひとりで出て行こうとし、後のことを任せると言っても頷かない葉林と睨み合います。

そこに再び、飛くんが割って入り、羅漢の胸のうちを見事に言い当てるのです。

その上で、「協力させて欲しい」と言うのではなく、自分は横暴な振舞いをする老簫に一矢報いたい、

そのために、花路の皆に「力を貸してくれ」と逆に頼むのです。

その人の想いを見通す才能と、迷いのない物言い、度胸ある姿に、羅漢を始めとした花路の皆は、胸を打たれます。

しかし、花路に関わりのない者を危険に巻き込むわけには行かないと(と思ったんだよね、きっと!/笑)、羅漢は惹かれる気持ちを抑えて、

どうしても願いを叶えたいなら力ずくで叶えろと、いきなり立会いを挑んできます。

それに応じて、力で伸すだけのやり方とは違う戦い方で、優位に勝負を運ぶ飛くんの姿に、

見守る花路の仲間たちが勇気付けられ、いつの間にか、飛くんを応援し始めます(笑)。

ついには剣を取った立会いとなりましたが、状況は覆らず、飛くんは見事な勝ちを収めます。

負かされて、弾かれた己の剣で額を傷付けてしまった(羅漢の額の傷はこうした経緯で出来たのね!!)羅漢も、清々しい想いでいました。

そうして、飛くんが舞い手となって、老簫の宴に出ることになるのです。

 

さて!そこで、今回のベストオブイラストです!!

 

227頁のイラストでっす!

 

薄布を被って顔を隠し、鮮やかな剣舞を披露する舞姫飛くん♪♪

薄布越しの美貌が何とも麗しく、うっとりで御座います♪

 

羅漢の声を合図に、舞い手ただ一人が門のうちへと歩み入る。

すい、と気後れする様子もなく、舞台に上がった。

手には二本の飾り刀。

調子をとる太鼓の音に合わせて、その二本が目にもとまらぬ早さで鞘から抜かれ、

見るものを、あ、と驚かせる鮮やかさで、くるくるくると見事に舞う。

「おおっ、なんという早技でしょう!」

「舞いというより、なにやら真剣な立ち合いのような」

「すごいぜ、兄貴っ。綺麗は綺麗だが、なんだか気迫ってもんが圧してきやがる」

「布の陰の顔を見たか?さすがは色街、怖いくらいの美形だぜ」

裙子(チュンズ)をめくり上げるのが愉しみだぜ、と首に傷のある用心棒が舌なめずり。

舞い手はすばやく剣をひらめかせ、高く跳躍し、鮮やかに身体を沈めて見得を切り、

ぴた、と鋭い剣先を見物客の真ん中にある蟾蜍面へと向けつつ、控えめなしなを作ってみせる。

 

                                                    (本文225頁〜226頁より)

 

綺麗だけど気迫ある舞いってところが良いよね♪

「控えめなしな」っていうのも良い良い♪♪

素敵だなあ、素晴らしいなあ!!

飛くんてば、花路入りの前から女装してたのね、という突っ込みは敢えてしない方向で(笑)。

ちなみに、このイラスト、「Cobalt」掲載時にはもっとロングなショットでした。

ので、私は雑誌のイラスト頁を切り取って保存してます♪

文庫に収録されなかったイラストもあるし、雑誌買って良かったですよ!!(笑)

また、今回セレクトしたのは、浅見さんの絵に、美しさがあった時期のイラストです。

 

そうして、最後に飛くんは、剣を投げ打って、

散々花路へ嫌がらせをしていた首に傷のある用心棒の褌子(クウズ←ズボンみたいな下穿き)の裾を敷石に縫い止めて情けない悲鳴を上げさせ、

一矢報いるのです。

今回の宴で、花路に恥を掻かせるつもりが、逆に絶賛される羽目となり、老簫は地団太踏んで悔しがりますが、客の手前、あまり無茶は出来ず。

花路は、横暴な老簫の鼻を初めて明かしてやることが出来たのでした。

 

そうして、飛くんは羅漢を始めとした花路全員の心を鷲掴みにし(笑)、晴れて花路の頭へとなるのです♪

 

・「花龍神話」名場面

 

此度の名場面も悩みどころなのですが、「花龍神話」内からセレクトしようと思います!

「花龍神話」は今現在のマクと飛くんのお話。

そして、「誘う」でちょこっとだけ出てきた『小白龍』が登場します!

名前は翠星(ツォイシン)

…って、絲恋(スーリェン)ったら、ちゃっかり自分の子供に、好きな人(父親(老簫)にあらず)の名前を一字貰って名前を付けちゃってるよ!(笑)

幸い、あの蟾蜍(老簫/笑)ではなく、美人の母親似の翠星は、とても可愛らしい五歳の男の子です。

彼は美しくて強くて優しい飛くんが大好き♪

しかし、意地悪で冷たいマクは大嫌い(笑)。

そんな翠星が、飛くんを自分の龍玉にしているマクにやきもちを妬いて、近いうちに行われる祭礼で使われ、

しきたりに従って、花路に預けていた宝物の一つを隠してしまう…というお話です。

この話での名場面と言うと、マクと飛くんの場面を挙げる方が殆どだと思いますが、私は敢えて違う場面をセレクト。

…いや、今回は場面というより、心情描写に近いかなあ(笑)。

翠星が飛くんに抱いている気持ちを表した文章です。

 

憧れの人は、花路の束ね役。

しなやかな細身に、涼やかな顔だち。

朝風の気配と、甘い夜の移り香とをどちらも纏って、いつも前触れなくあらわれる。

優しくて、潔い、その笑顔。

彼を仰ぐと、いつも嬉しくてくすぐったいような気持ちになった。

 

                                                      (269頁〜270頁より)

 

…という、翠星が飛くんに抱く気持ちには、カッコいいヒーローに対する憧れの他に、

近所の優しくて綺麗なおねえさんに抱く淡い恋に近い憧れも含まれているんじゃないかと思います(笑)。

飛くんを一途に慕い、食事もせずに駆け回ったり、怪我をしたりする飛くんを案じる翠星の姿は健気そのもの!

健気であるからこそ、まだ幼い彼には、マクと飛くんの間の絆が理解できません。

マクは、相手が子供であっても容赦なし、全く皮肉口調を改めない大人気ない男ですしね(笑)。

ふたりのやり取りを目にしても、翠星には、飛くんがマクに一方的にいじめられているように見えたでしょう(苦笑)。

実際、マクは翠星にまで妬いて(苦笑)、飛くんに、

「こう近くにあってまで、よそ見をする眼ならば、いっそくり抜いてやるぞ」(254頁)

と、実に苛烈な脅し文句を言っています。

その中味は、余所見をしちゃヤダヤダ!!と駄々をこねてるだけなのですが(苦笑)。

ホントに大人気ないな!!(笑)

ちなみに、幸いにも、翠星はその現場にはおりませんでした(笑)。

…故に、翠星は、飛くんを守ろうと、そして、願わくは、意地悪なマクから飛くんを自分の方に引き寄せようと、

無茶な振舞いに及んでしまった訳なのです。

結局、飛くんがすぐに宝物を隠したのが翠星であることを悟り、翠星が自ら隠した宝物を返すように導いてやって、事件は事なきを得ます。

その際、飛くんは、どうしてマクが好きなのかと泣きながら問う翠星に、その理由を諭すように教えるのですが、

五つの男の子には難し過ぎて理解できないのでは?とちょっと思ってしまいました(苦笑)。

取り敢えず、飛くんは翠星のことも、とても大事に思っているということは、伝わったようです。

しかし、その後の、翠星の問いが意外に鋭い。

自分が『龍』になった後も、飛くんに花路の頭でいてくれるかと問い、

「もし、いつか、あのひとが死んでしまう時が来ても、あなたは死なないでいてくれる?そうして、僕を助けてくれる?」

と、尋ねるのです。頭の良い子じゃ…

その問いに、飛くんは、

「わからない。けれど、当代『白龍』が亡くなるとき……そのとき、俺にさらに生きようと思わせるような『龍』に、

なっていただきたいと願っている」(296頁)

と応えるのでした。

 

そして、祭礼当日、マクと飛くんがふたり並ぶ様を見て、翠星は感覚的にではありますが、ふたりの絆を理解したようです。

マクより数十倍物分りの良い子です、翠星!(笑)

そして、十年後が愉しみなお子様であります!

そのときには、是非、飛くんを巡ってマクと火花を散らして欲しいですな!!(笑)

 

一方、飛くんはマクと並んで立ちながらも、

「時おり……あんたの目は、底知れない闇の奥を見据えているような気がしてならない」(302頁)

と、零すのでした。

ちょっと不穏な感じですけれども、幾ら傍近くあったとしても、ひとってのは…

特にひねくれた(失礼/笑)マクと清廉潔白な飛くんとでは、見える景色が違って当たり前。

同じものを見てるようでも違うものを見てる、つまり、見方が違うのです。

しかし、だからこそ、ふたりでいることに意味があるのです、大丈夫!!

…と、ちょっと不安がってる(?)飛くんにエールを送って、この度の「花龍神話」れびゅの締めとさせて頂きたく。

お疲れ様で御座いました!(笑)