龍は誘う


四龍(スーロン)島シリーズ第三作目、『龍は誘う』。
このタイトルもまた……(もわわん)←妄想の膨らむ音。
「誘うって何処にっ!?」と思わず訊いてしまいたくなるものがあります。
そしてそして、このお話もまた、妄想の糧となるネタが幾つも御座います♪
さて、恒例のあらすじ紹介。
折り返し部分からの引用です。
引用部分は

大船主・祥船(シャンチョアン)は、青龍(チンロン)に与しマクシミリアンに敵対する勢力である。
祥船の館で、大龍(ターロン)に隠し子がいると聞いたマクシミリアンは、罠を承知で西湖に出向く。
一方西湖には、身重の春華(ツンホワ/1作目『微睡む』にも登場。
小虎(シャオフー)の幼馴染みで現在は彼の奥さん)が静養に訪れていた。
春華は、親しくなった絲恋(スーリェン)の頼みで、マクシミリアンを彼女に引き合わせる。
だが、絲恋は、「仇」と叫んで突如マクシミリアンに切りかかっていった!
人気絶頂の四龍島シリーズ第3弾。

                                          (文庫折り返し部分より)


小虎がもう父親だっていうところがちょっと驚き……
頭(飛くん)らぶでも、やることはしっかりやってるのね…と…(スミマセン!×100/汗)
まあ、そんな心の片隅の驚きは置いておきまして。
今回のお話はマクの父、大龍の隠し子騒動な訳ですが、この舞台となる西湖、温泉で有名な別荘地なのですよ。
と、いうことで、裏タイトルは

マク+飛くんのどきどき温泉旅行♪(嘘をつけ)

…話を戻しまして……このお話で今後の展開の鍵を握る大船主・祥船の跡取り、千雲(チェンユン)が登場します。
今回のお話のメインではありませんが。
控え目な物腰の美青年…ということで、心ときめかせるお嬢様方もいらっしゃるかもしれませんな。
葉柳はもちろん飛くん一筋です。←訊いてない。
気紛れの雨宿りとして、祥船頭領・高浪(カオラン)の妾宅へと出向いた先で、マクはこの千雲と初めて対面します。
そこで宿敵、『青龍』の右腕である楽海(ユエハイ)とその用心棒を装いつつ、実は腕利きの刺客、
天狼(ティエンラン)と鉢合わせます。
その際に楽海からマクに兄弟がいるようなことを技とらしく仄めかされるのです。
己以外に大龍に子がいる?それは面白い(マクはこういう奴です/笑)、ということで、
マクは半ば浚うように飛くんを連れ出し、
祥船の招きで楽海が滞在していたと言う西湖の賓荘林(ピンチュアンリン)へと向かいます。
その先で、マクは絲恋に切り掛かられる訳ですが、彼女には4つになる子供がおりまして。
もしやそれが大龍の……?という感じでお話は進んでいきます。

今回のこのお話、隠し子騒動の他に、牽牛織女の伝説をそれとなく絡めた恋物語もメインの一つとなっております。
思い合いながらも、隔てられて会うこと叶わぬ恋人たち……
ストレートに読むならば、その恋人たちは、絲恋と彼女が恋した一星(イーシン)となる訳です。
一目で互いに心惹かれながらも、実は二人は腹違いの兄弟だった!
(ついでにこの二人、祥船頭領の子供だったりするのですが)
という衝撃の事実を前に、己の想いから目を逸らそうとする一星。
逆に一途に己の想いを見据える絲恋。
これはこれで、なかなかに切なく印象的なのですが、も一つの視点もあり。

牽牛がマク、織女が飛。

っていうか、葉柳的にはこっちがメイン……(笑)
今回の青龍が仕組んだ隠し子騒動で、マクは『白龍』の椅子から転がり落ちる一歩手前まで行きます。
脅されたマクは、元いた本土へと戻される状況となり……
まさにマクと飛は海に隔てられた牽牛織女となってしまいそうになるのです(笑)。
春華を人質にとられ、青龍の刺客の手を借りた一星たちに捕まったマクと飛くん。
マクは冗談交じりに別れの言葉を口にします。
それを難じる飛くんに「共に本土へくるか」と誘いかけます。

濡れたままで、いっこうに乾かぬ短衫(トアンシャン)の肩に、マクシミリアンの腕の温もりが当たっている。
居心地の悪さに、す、とわずかに身を引けば、低い囁きが追ってきた。
「逃げるとは、卑怯」
「だれが逃げるか」
「……ならばともに、本土へくるか」
こちらの強気を嗤うように、マクシミリアンの誘いの文句が、胸に緩やかにまといつく。
「わたしを欲しいと思うのなら、手を汚してでも縛りつけておけ。
仲間の命と秤にかけて迷うようなら、はなからやめておくんだな」
かと思えば、つれなくつき放す身勝手な瞳。
(中略)
出逢うまえには、迷いもなく守ろうと決めていた白龍の街なのに、
いまマクシミリアンが去ったあとを思い浮かべれば、おかしいほどに胸の奥が冷める。
捕らえる腕を一度離せば、気紛れな神龍(シェンロン)は決してふたたび戻りはしない。
結んだ契りなどふり返りもせず、天の住処へと還ってしまう。
つかめるはずのない行く末が、なぜ痛いほどに、こうしてわかるのか。
牽牛、織女。
天河を隔てて別れ別れの男星女星を、ふいに思い出して、苦笑がもれた。


                                  (本文143頁〜147頁より)


また、長く引用しちゃったよなあ…(汗)
でも、ね?飛くんも自分たちを牽牛織女になぞらえてるでしょ?(…そうか?)
この後、身重の春華を人質に取った一星たちのやり方に憤慨した絲恋によって、飛くんたちは逃げ出す機会を得ます。
…が、今度はどさくさ紛れに絲恋の子を人質に取ったマクに、
この命と自分とどちらを取るのかと迫られ、試されて、優しい飛くんは結局刃を退いてしまいます。
そうして、再び捕まった飛くんたち…
マクは敵の要求を飲んで、本土への船の手配を取る為に一旦白龍屋敷へ戻ることになります。
遂に永久の別れか?
…というところで、忘れてはならないシーンが……
マクは屋敷へ戻る前に、「忘れ物をした」と言って、飛くんの翡翠の耳飾りを奪い、更には

別れのキッス(笑)

までします。
ええ、もう周りの目を顧みず(笑)。
それ見て、青龍の刺客、天狼が「悪ふざけはいい加減にしろ!この変態共!!」
(一部台詞を脚色しております。/苦笑)とぶち切れ。
実はマクは、この口付けで縄を切るための陶器の欠片を、飛くんに口移しで渡していたのですが…
それにしても、このやり方はやらしいですよね…♪←?
しかもこの場面、

イラストになっております。

もう、恥ずかしくて外で読めないっちゅうねん(読むな)。

・「龍は誘う」名場面

四龍島は全てが名(迷?)場面でどれを選んだら良いのか、迷ってしまうのですが……
今回はこちらに致します!
↑に引用した場面とは前後するのですが、西湖の白龍屋敷の賓荘にて、二人の温泉シーンを。
といっても、温泉に浸かってるのはマクのみで、
飛くんは「用心棒が主と一緒に湯に浸かっては仕事にならない」と辞退し(マク談:「なんだ、つまらん」/笑)、
二人はもう一人の大龍の子のことについて話をします。
が……

「腕を貸せ」
請われて、契りを交わした傷の残る片腕をさし出した。
マクシミリアンの濡れた指に、その手首をつかまれる。
「あっ」
しまったと思ったときには、そのまま腕を引かれて湯のなかへ落ちていた。
「幾度も同じ手にひっかかるな、花路。
うわのそらで、用心棒なぞつとまるのか?」
(中略)
つかまれた手くびを、動悸が伝う。
髪の先まで濡れそぼって、熱い湯気に目が眩む。
「びしょ濡れだな……
いっそ脱いでしまってはどうだ」
そう言って、マクシミリアンのしなやかな手が領子(リンズ)に伸びてきたときだ。

                                   (本文80〜81頁より)


無理矢理マクに温泉へ引き入れられて、ずぶ濡れ状態の飛くん。
その姿はさぞや色っぽかろうと……(妄想)
そんな艶姿に誘われるように、マクも手を出しかけ……?
ここで、邪魔が入るところがなんとも惜しい……(阿呆)
あっ、ちなみに「契り」ってのはあっち(?)のことではなく、血の契りのことですからね!
お分かりかと思いますが念の為。
互いの血を文字通り啜ることによって成り立つ……
しかし、これはこれで何ともアヤしい……(苦笑)

・「誘う」ベストオブイラスト!

さてさて、今回のベストオブイラストは、

本文227頁のイラストです!!

マクから口移しで(笑)貰った陶器の欠片と絲恋の協力のお蔭で、飛くんは再び脱出の機会を得ます。
その際、絲恋の子は実は白龍の叔父、故老蕭(ラオシャオ)の子であったことが明らかにされます。
絲恋と一星の恋も、失われることなく、どうにか互いの心に居場所を得た様子。
大龍の子はいなかった!と分かったところで、もう既にマクは本土行きの船に乗ってしまい…
飛くんは前回関わりのあった船主、西海風(シーハイフォン)の助けを借りて、
マクの乗った祥船の大船(ターチョアン)に乗り込みます。
またも、邪魔に入った天狼をどうにか退け、やっとマクの本土行きを阻むことが叶った飛くんの前に、
マクは翡翠の耳飾りを差し出します。

「欲しいか……花路」
からかう口調で、低く誘った。
相手の胸へ突きつけていた刃を、飛はゆっくりとその喉もとへと向けなおす。
(中略)
銀灰の瞳を見据えたままで、飛はゆっくりと後退る。
(中略)
刃をおさめて、
「牽牛織女の伝説を、知っているか……マクシミリアン」
にやり、と笑むくちびるから、そう訊ね、舟べりから一気に身を翻した。
とび降りる下に、西海風の舟。
降り立つところへ、ざ、と散った水飛沫を浴び、濡れた黒髪をかき上げる。
「花路」
声を仰げば、銀のまなざし。
波があいだを、隔てている。
牽牛……織女……罪な運命……。
けれど、引き裂かれても、手放すな。
息ふさがれてさえ、なお求めるその腕を……
力尽きて、みじかい命が果てるまで、決して、二度と、手放してはくれるな。
(中略)
マクシミリアンが、腕を上げる。
海の上に鮮やかに弧を描く、翡翠の飾り。
それを過たず、飛の手が受ける。
群青の波飛沫が、ふたりのあいだの隔たりを濡らしていき……、
てのひらに握った証ごと、銀灰のまなざしへと腕をさし向け、飛は声高く叫んでいた。
「この舟へ、あんたが降りてこい……マクシミリアン!」

                                  (本文226頁〜229頁より)

はい、またも長々引用で御座いますが、
↑の船上のマクを見上げる飛くんの場面がイラストとなっております。
マクを強い眼差しで見上げる飛くんが、凛と美しくて、ス・テ・キ♪←馬鹿。
つくづくと強気な姫(?)って良いなあと思います♪
この後、マクは「強情な織女(飛くんのことよね!)に出遭ったのが運のつき」とか言って、
飛のいる舟へと飛び降ります。
らぶらぶです(笑)。

な〜んか、また長くなったような〜〜?(汗)
書いている内に、どんどん楽しく、止まらなくなっていくのです……
長い上に、前後の繋がりの全くない(最悪や…/汗)この馬鹿レビュー。
お付き合い頂きました方、なんて心の広いお方なのでしょう!!!
いらっしゃいましたら、本当に有難う御座いました!!
次回も宜しくお付きあい頂けましたら嬉しいです。


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