『花影彼方』
四龍(スーロン)島シリーズ通算二十九冊目、本編終了後の番外編となる二作目は、「花影彼方」。
今までは、発売直後の突貫工事的なものを目も当てられない落描きと共に(汗)、
仮アップしておりましたが、この度、本格(?)レビューをアップです。
…まあ、対して中味は変わってないかもしれないんですが(苦笑)。
今回のお話の注目は、「雷英(リーイン)アニキの復活横恋慕」ですね!(笑)
それを証明するかのように、表紙には、飛(フェイ)くんとマク、雷英の三人が描かれています。
白い花と共に、凛々しくも美しく微笑む飛くん♪をバックに、剣を手に背中合わせに佇むマクと雷英。
新刊オビの「春の花のようにおまえを想ってきた―。」という本文中にも出てくる雷英→飛くんへの台詞、
その雷英のポエマー振りに、身悶えしながら笑わせていただいた記憶があります(ヒデエ/笑)。
私、新刊のオビはいつも買ってすぐに捨ててしまうのですが、この傑作だけは今でも残してあります(笑)。
初っ端から軽く雷英をこき下ろしておりますが、実はこの作品で本編よりも雷英が好きになったのです。
歪んだ好意ですけどね(笑)。
そして、いつもどおり飛くんには惚れ直し♪マクのお戯れにはニヤつかせて頂きました。
春から夏へと移ろう季節を迎えた四龍島。
白龍(バイロン)市の色街・花路(ホワルー)を束ねる飛のもとを黒龍(ヘイロン)市の雷英が訪れた。
懐かしい客に喜ぶ飛だったが、聞けば盗賊団を追ってきたとのこと。
内密に処理したいとの雷英の頼みで、領主のマクシミリアンには知らせぬまま港の警護にあたった飛は、
結局賊を取り逃がしてしまう。
後には一味の少年が置き去りにされていたのだが…。
大人気シリーズ、待望の最新刊!
(文庫折り返し部分より)
…ということで、盗賊団を捕まえるついでに、飛くんも攫ってしまおうと、雷英がやってきます(笑)。
・「花影彼方」ベストオブイラスト。
初っ端からやって下さいました!真堂さん&浅見さん!!(笑)
今回のベストオブイラストは、
15頁の娼妓姿の飛くんのイラストです♪
花路一の妓楼、梅雪楼(メイシュエロウ)の主人が、
青龍(チンロン)からの大事な客を迎える宴での娼妓の数が足りないと悩んでいたところ、
大兄の孫(スン)の提案で、飛くんは娼妓として宴に参加することになるのです。
しかし、そのあまりの艶姿ぶりに、宴のお客に目を付けられて、身請けを求められるのではと、
孫はすぐさま自分の提案を後悔し、見物に来た花路の仲間は見惚れて絶句した後に、
孫と一緒になって、宴の参加を止めるようにと言い出してしまいます(笑)。
ちなみに、飛くんの娼妓姿はこんな。↓
色鮮やかな繍のある上着に、たっぷりと襞のある裙子(チュンズ)を着け、
派手な飾り帯を腰に結って、宴席にふさわしく着飾った格好。
結い上げた漆黒の髪には、紅い組紐と金銀の簪。
牡丹の柄の長い上着を肩に羽織って、す、と背筋を伸ばして腰かけている。
……まるで、仙姫(せんき)。(12頁)
ちなみに、「裙子」とはスカートのことです。
しかし、当の飛くんは、喧嘩の前に尻込みするような真似はしたくないと、
妙な漢らしさで(笑)、後から現れた羅漢(ルオハン)の諌めも聞かず立ち上がります。
そこに更に、噂を聞きつけたマクが現れ、花路の頭を辞めて、娼妓になるつもりなら、
身請けして屋敷に住まわせると戯れ(いや、本気か?/笑)を言います。
それに、飛くんは、少々不敵に微笑み、同じ屋敷に住んでいなくとも、
花路の頭は、西の『龍』のものだと潔い口調で応えるのです。
イラストは、ちょうどその場面を描いたもの。
貴い『龍』の血が、島中で一番濃い故か、それとも、生来の資質か、ただ美しく艶やかなだけではなく、
この世ならざる仙姫に例えられようほどの気品を持った姿が、描かれちゃってる訳です♪♪
マクがそれに見惚れているように見えるのは気のせいではありますまい♪(笑)
その後の宴では案の定、お客が娼妓飛くんに惚れ込んで、楼主人に身請けの値はいくらかと尋ねたり、
マクが宴の場に現れ、その艶姿を客に見せるなと戯れを仕掛けたりしたそうな(笑)。
その話を聞いて、自分も色街に出入りできたら、飛くんの艶やかな姿を拝見したかったと言う玲泉(リンチュアン)。
女装に拘りがないのは、朱龍(チューロン)出身だからか、やはり、前の主人、玉蘭(ユイラン)と飛くんを同一視してるからか(笑)。
そんな玲泉が今は取り仕切り、飛くんも時折手伝っている東州茶房に、黒龍から雷英が飛くんを訪ねて来ます。
快く彼を迎え入れた飛くんは、雷英から盗賊を追ってきたことを打ち明けられます。
主に荷蔵を狙い、見張りを置いていたところでは、死人も出る荒っぽい手口で盗みを働く賊だそうで。
また、一味には鍵開けの上手がいて、その手口が、先日盗みを働いて、牢の中で死んだという、
針一本でどんな鍵でもたちどころに開ける「迷針(ミーシン)」と呼ばれた鍵開けの名人の老人と同じだとのこと。
そこで飛くんは、黒龍から白龍に逃げ込んだという盗賊団を、花路で捕縛することにします。
それに協力したいと雷英は言い、その間、彼は自身の希望で東州茶房に泊まることになります。
更に、雷英は賊の件と自分が白龍を訪れていることを、『白龍』には内密にして欲しいと頼んできます。
一瞬驚いたものの、先般の黒龍と白龍との争いを思い出した飛くんは、その申し出に頷きます。
そんな飛くんに雷英は、
「無理を言うついでに、いっそ盗賊捕縛にかこつけて、おまえを攫い直すか」(39頁)
と、早速アプローチ(笑)。
しかし、飛くんは「冗談を」と言って軽く受け流してしまいます、アララ(苦笑)。
大きな荷蔵を抱える船主たちに予め知らせをし、守りを固めた飛くんたちでしたが、
早速その日のうちに、西海風(シーハイフォン)の荷蔵に件の賊が押し入り、
運悪く鉢合わせてしまった頭領の李(リー)が、怪我を負ってしまいます。
すぐに飛くんたちが駆け付けて、惨事は避けられましたが、どういう訳でそこにいたのか、
賊の一人に突き飛ばされ倒れた子供を守ることを優先した飛くんは、賊を取り逃がしてしまいます。
しかし、気が付いた子供は、気遣う飛くんを拒絶するのでした。
その後、飛くんは西海風の荷蔵が賊に襲われた件を白龍屋敷に報告します。
雷英のことは置くとしても、その賊が黒龍から来たことくらいはマクに、
伝えるべきかと飛くんは考えますが、結局伝えそびれてしまいます。
そこに、手当てをさせた上で、屋敷の一室に籠めていた、盗賊団と一緒にいた少年が、飛び込んできます。
盗賊の仲間かと、相手が子供だろうと容赦なく(苦笑)その華奢な肩を掴まえて問い質すマク。
それを見かねて止めた飛くんは、少年と目を合わせ、ゆっくりと言い聞かせて、まずは、少年を落ち着かせようとします。
が、それをまたも邪魔しようとするマク(笑)。
飛くんを責めるマクが賊を「他人の財を食い荒らす質の悪い虫」と例えたのに、ふいに、少年が激しく反発します。
「師父(シーフ)のことを悪く言うな」と叫んだ少年の「師父」という言葉が耳に入った飛くんは、
思わずこの少年を東州茶房で預かりたいと申し出るのでした。
飛くんの偽りのない優しさに触れて、少し警戒心を解いた少年、小栗(シャオリー)から、
飛くんは彼の言う「師父」が盗賊団の一人であることを聞き出します。
しかし、「迷針」のことについて問うと、頑なに口を閉ざす様子に、
鍵開けの上手は「師父」なのではないかと飛くんは予想します。
小栗と同年代の花路の少年たちを茶房に呼んで、彼の相手を任せた飛くんは、
賊のことについても話し合われる船主組合の会合に立ち会うために、二階に上がらずその場で着替えます。
すると、その場にいた雷英が、飛くんの背に自分が彫った龍の刺青を見てこんなことを言うのです。
「なあ、小飛(シャオフェイ)。背の刺青と、その耳朶の飾りと……どちらの痛みがより勝った?」(81頁)
自分(刺青)とマク(耳飾り)のどちらがくれた痛みが飛くんの心に強く刻み込まれているのかと、
意味深且つヤラシイことを訊いてくる訳ですよ!!(笑)
そんな深い意味にはさっぱり気付かない飛くんは、刺青の方が痛いとごく当たり前の答えを返す訳ですが、
雷英は更に、飛くんに急な立会いを仕掛けます。
片肌を脱いだ格好の飛くんを庭木に押し付けるようにして、動きを封じた雷英は、
「かつて、俺はおまえを、大切な花のように……」(84頁)
と、告白し掛けますが、そこに夫(マク/笑)が現れ、中断(笑)。
しかし、乱れた格好で雷英に押さえつけられてる飛くんというその場面は、
まさに浮気現場の如く!!(笑)
…まあ、そんなこんなでせっかく隠していたのに、雷英が白龍にいることはマクにバレて仕舞ったのでありました…(苦笑)
船主組合の会合に向かう途中の俥の中で、マクは案の定、飛くんの浮気(?)をチクリと刺します。
あら、マクにしてはあっさり目?と思ったりもするのですが、飛くんに弁解も許さず、
雷英もまた、龍玉(飛くん)を奪ったことのある賊だと断言するあたり、実のところ嫉妬心メラメラ?(笑)
マクの指図で会合に連れて行かれた小栗は、盗賊団が白龍で最初に襲った西海風とも顔を合わせることになります。
相手が子供でも罪を許さない千雲(チェンユン)の厳しさと、怪我を負わされても、
責めずに逆に気遣ってくれる李の優しさとに触れて、小栗は初めて被害に会った人々の気持に目を向けたようです。
組合からの帰り道、俯いたままとぼとぼと後を付いてくる小栗の手を、
飛くんが途中から引いてってやる件がちょっとしたツボです。
飛くん優しいなあ♪
賊捕縛を直々にマクに一任された飛くんは、花路へ戻って仲間の話を聞きつつ、指図をしてから、
改めて白龍屋敷にマクを宥めに行きますが、あまり効き目がありません(苦笑)。
それから、見回りに出た夜、賊が富浪(フーラン)を襲ったとの知らせがやってきます。
会合での話し合いで、予め人手を割いて、充分に守りを固めていた彼らならば、
賊を幾人か捕縛できたかもしれないと思いきや、何と賊は、荷蔵ではなく、
荷蔵に人手を回した分、手薄になっていた店里(ティエンリー)のほうを襲ったのでした。
店里に駆け付けた飛くんたちは、賊と争いになって怪我を負った頭領の燕(イェン)の話から、
賊が迷針を用いずに無理やり押し入ってきたことを聞きます。
そこで、仲間割れか何かで今は、迷針を使う者が抜けているのかと予想する飛くんたち。
また、子供が賊に切られそうになったのを庇ってくれた賊がいて、その賊に燕が傷を負わせたとことも聞きます。
それから、茶房でちょうど花路の少年たちが、飛くんの自慢話を披露して、
それに負けじと小栗が「師父」の良いところを話しているところに戻った飛くんは、小栗とふたりで話をします。
富浪であったことをそのまま伝えた飛くんは、「師父」がこれ以上罪を重ねないためにも、
知っていることがあれば教えて欲しいと小栗に訊ねます。
それに罪の意識をひしひしと感じるようになった小栗はまた、少しだけ口を開きますが、
迷針を使う者については依然として、口を閉ざしてしまいます。
捕まって斬罪になるなら師父と一緒が良かったと、もう一度師父に会いたいと涙ぐんで黙り込んだ小栗から、
飛くんは話を訊き出すのをやめ、その背を慰めるように暫く撫でてから部屋を出ます。
そこに、話を立ち聞きしていた雷英がいて、こんなことを言います。
「罪を咎めもせず、幼いからといって許しもせず、だ。見ようによっては、だいぶ厳しい」
「以前は俺のことを、甘いと嗤っていたろうに」
「いや。その甘さが、実は質の悪い厳しさなのだと、近ごろになってようやく悟った。
そでにした相手に、また会おうと言い置いて去るあたりが、殊にな」(127頁)
報われない男の恨み言(笑)。
しかし、これ(↑)が飛くんの優しさであり、私が好きなところです。
相手に優しくすることが、ただ、甘やかすことになっていないところが素敵なのです♪
賊が戻ってくるのを狙って、故意に守りを手薄にした夜市(イエシ)に出掛けた飛くんは、
そこでついに小栗が慕う「師父」である二鷹(アルイン)と接触します。
富浪が襲われた際に、身内の子供を庇った賊が彼でした。
また、夜市でも、店主に酷く叱られて泣いている痩せ細った給仕の少年に、自分の饅頭(マントウ)を差し出した彼は、
自分にゆとりがないから施しをするのだと言います。
弟がいるのかと振ってみると、近ごろ別れたとも言い、そして、飛くんに盗みの片棒を担がないかと誘いを掛けてきます。
賊捕縛のチャンスを捉えた飛くんでしたが、彼と約束をして別れた後、ふいに「迷針」の正体に気付き、急ぎ茶房に戻ります。
賊の一味に加わっていた「迷針」…鍵開けの名人は、小栗でした。
そのことを小栗に訊ねると、彼は頷きます。
黒龍の牢の中で死んだ鍵開けの名人の老人が、小栗が預けられていた家の近所に住んでいて、
彼からその技を教わったのだということでした。
老人は養父母に冷たくされていた小栗を可愛がってくれ、早解き比べで初めて老人に勝ったとき、
ご褒美をあげようと言って、姿を消したそうです。
そうして、金持ちの家で上等の凧を盗もうとして捕まり、牢の中で死んでしまったのだと。
老人が最後に盗もうとしていたのは、小栗へのご褒美だったというのが何とも切ないです…(涙)
何も知らずに、老人をけなす養父母に反発して、家から追い出された小栗が、次に出会ったのが二鷹でした。
鍵開けの技を褒めて、優しくしてくれた彼に従って盗賊団に加わった小栗でしたが、白龍へ来て、
急に二鷹が冷たくなり、ついには殴りつけて置き去りにしてしまったという経緯を聞いた飛くんは、
二鷹は幼い小栗を逃がそうとして技とそうしたのではないかと気付きます。
老爺(ラオイエ)のときのように師父と離れ離れになるのは嫌だと訴える小栗に、
飛くんは自分の見聞きした二鷹のことを彼に話します。
小栗もまた、飛くんが気付いた二鷹の思惑に気付き、逃げずに彼の元へ行き、一緒に捕まりたいと言います。
二鷹と小栗では罪の重さが違うので、一緒に捕まっても結局離れ離れになるかもしれないと飛くんは確認しますが、
小栗は二度と会えないよりいいと答えます。
そこで、飛くんは小栗に協力してもらって、賊を全員捕縛することにするのでした。
・「花影彼方」名場面。
燕に言って、富浪の荷蔵を貸してもらい、そこに盗賊団を誘い込む策を花路と雷英とに伝えた飛くん。
その手引きを小栗に任すと言うのに、雷英は異議を唱えますが、
残る花路の仲間たちは皆、飛くんが信じる小栗を信じ、その策に頷きます。
…ここで、飛くんを信じてやれないから、花路にも負けちゃうんだよ、師兄(苦笑)。
そして、故意に街を騒がせることになるので、白龍屋敷へ予め知らせをすることになったのですが、
その役を雷英が買って出ます。
今回の名場面は、結局仮アップしたものと同じになってしまいましたが
(こういうツボは何年経っても変わらないものなのでしょうか/笑)、
屋敷を訪れた雷英とマクの飛くんを花に例えたポエムバトルです!!(笑)
頁数で言うなら、182〜186頁まで。
市街を騒がせている賊が、黒龍で取り逃がしたものであり、
そのことで花路の頭にも迷惑を掛けていることを詫びた雷英に対し、マクは詫びることは別にあるのではないかと返します。
それに常の朗らかさを脱ぎ捨てて、マクと似通う近寄り難い男の顔となった雷英が、
自分は飛くんのことを長く春の花のように思ってきたと告白します。
「白い花弁を潔く開く花です。香り清々しく、等しく万人を愉しませる。見守るものが気を揉むほどに花客を集め……
いつかその花の開くときが、自分にとっても冬の終わりなのだと、どこかで期待しながら待っていた。
ところが、その花が根づき、固い蕾をようやく開いたのは、この西里において。
長く花守をつとめてきたものとしては、少々裏切られた心地です」
(中略)
「それで、花盗人に仇なしたいと思うわけか」
「いえ、『白龍』。盗人にかまう暇があるなら、手っ取り早く花を盗み返せばいいわけです」
「力ずくの手に摘まれる花だと思っているか」
「否。そのような花であれば、もとより興味はなし」
(183〜184頁)
しつこいようですが、花=飛くん、花守=雷英、花盗人=マクな訳です♪
よくもまあまあ、ふたりとも恥ずかしげもなく!!(笑)
しかし、飛くんラヴの私には、納得できる表現でもあるのです!
力ずくでは摘めないからこそ、諦め難く思わせるとは、全く罪な花ですな、飛くんは♪♪(笑)
その後、元の様子に戻った雷英が、飛くんの伝言を伝え、帰り際にマクにこう訊ねます。
「"詫びるべき"と仰せられたのは、かつて西里に咲く花を無理やり奪い去った罪についてでしょうか。
それとも、いまだにその花への未練断ちがたく、夏をまえに他人の庭をうかがう浅ましさについてでしょうか」
そもそも先に奪ったのはそちらであったけれど、と。
まなざしに一瞬だけ責める色を滲ませてから、拱手で話を締めくくった。(184〜186頁)
それに、詫びるべきこととは「そもそも、この庭に花があると知ることについてだ」(186頁)
と、マクは何とも苛烈な言葉を返すのでした(笑)。
それから、小栗の働きにより、何とか賊を捕縛できた飛くんたちでしたが、そこに突然屋敷の手勢を引き連れたマクが現れ、
捕らえた賊を引き取るばかりか、雷英まで「西里を欺いて北里に益をなさんとするもの」として捕らえてしまいます。
噛み砕いて言うなら、
「西里の『龍』であるマクの龍玉である飛くんを攫って黒龍に連れ去ろうとしているもの」ってことで(苦笑)。
詮議の場で、飛くんは雷英がマクに言ったこと(「春の花のように想っていた」ってことね)をマクから聞かされますが、
ここに到るまでの幾度かの雷英の誘いを全て冗談だと思っていたうえに、ここに到っても『小黒龍』でない自分を、
雷英が攫ってでも必要とする理由が分からないと首を傾げます。
師兄!あんたの恋心は当の飛くんには全く届いてないよ!可哀想!!(大笑)←ヒデエ。
しかし、雷英は、龍玉(飛くん)を愛でたことと、
賊捕縛どちらが目的だったのかとのマクの問いに、街と街とのことが第一だと偽りを言います。
そんな雷英に、マクは、自分に勝ったら、白龍から一番欲しいものを持ち帰らせると立会いを持ちかけます。
マクから聞かされた話と、近寄り難い雷英の様子に、勝った末に雷英が望むのは、
自分なのではないかと飛くんは流石に少し不安になったようでしたが、結局飛くんの気持ちは揺るぎませんでした。
雷英がマクを負かしたとき、飛くんは迷わず進み出て、他ならぬ自分の望む居場所を得るために、
雷英に立会いを申し込もうとしますが、雷英が望んだのは、捕らえた賊の身柄の引取りでした。
…ここで、自分の本当の望みを隠したまま、無難に済まそうとするのが雷英なんですよね。
どうあっても我儘になれない、ある意味大人だからこその選択なのでしょうが、だからこそ、
自分の欲しいものを得るためならなりふり構わず(?)なマクには、負けてしまうというか(苦笑)。
そういう意味では本当に哀れだよね、師兄(ヒデエ/笑)。
そのとき、詮議の時も、二鷹や小栗にさんざ罪を擦り付けようとしていた卑怯極まりない盗賊団の頭目が、
弾け飛んだ剣で縄目を切りマクに襲い掛かろうとします。
そこに、二鷹が止めに入り、深手を負って倒れてしまうのでした。
一命を取り留めた二鷹と小栗は、二鷹の容態が落ち着くまで茶房の世話になります。
しかし、黒龍と白龍の二市を騒がせた賊に下される罰は、斬罪か、軽くて流罪です。
ふたりに対する罰の軽減を願う嘆願書を『黒龍』に送ると言う飛くん。
雷英はそんな飛くんを「人のため、街のためにと走ってばかりいると、
そのうちに自分の欲するものがわからなくなるぞ」(238頁)と言って、抱き締めます。
そうして、雷英が『小黒龍』の名を継ぐことが決まったことを告げ、
その慶事に際して二鷹と小栗の罪に対する恩赦をすることを約すのでした。
そうすれば「少しは俺の株も上がるか」なんて、そんなみみっちいことを…(笑)
哀愁漂わせた(笑)雷英が去った後、飛くんはマクを訊ねます。
そのとき、マクが飛くんの耳元に、低い美声で(笑)言った台詞がツボです♪
「西里の名花は、香り清々しい」
「なに」
「香り良く、花弁美しく、方々から花客を呼び寄せる。
その色を愛でようというものが多くて、なかなかに気障りだ」(244〜245頁)
マクと雷英のポエム対決(笑)を知っている読者はすぐに、
「西里の名花=飛くん」だと分かり、モテモテの飛くんにマクは意外に結構やきもきしてるのね♪と、
気付かされるのですが、飛くんのほうはさっぱり分かっていないご様子(笑)。
ですが、分からなくて良いのです♪
飛くんにはそんな風に自分の魅力には無頓着であって欲しい♪♪(笑)
そうして、カラクリ箱を開けるという簡単な勝負の後、南荘(ナンチャン)に住まうよう求めたマクに、飛くんは潔く頷くのでした。
そんな感じで、主人公ふたりはやっと同じ敷地内でのラブラブ(?)生活を営むこととなりました。
そして、遅過ぎた飛くんへの恋(笑)の自覚と我儘になりきれない性格が仇となった可哀想過ぎる雷英に乾杯☆(笑)
しかし、彼には断じて(笑)飛くんのことを諦めて欲しくない!と思っております。
『小黒龍』となった後も、どうにかして、マクと飛くんの間に割って入っていただきとう御座います♪
今後の活躍を期待してます!!(笑)
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