龍は微睡む―章題から見る四龍島―
半龍(ハンロン)午睡
そのまんまですな。
敢えて別の言い方をするならば、「マク昼寝中」(笑)。
「半龍」というのは、マク、こと、マクシミリアンが、妾腹の子で、
街の主である『龍』の血を半分しか継いでいないことから付いた渾名ってことで。
まあ、この渾名には、父である先代『白龍(バイロン)』の喪が明けてからも、
一向に街を治めようとしない彼の腑抜けッぷりに呆れる街の人々の気持ちも入っているんでしょう。
が、実のところ、マクは、敢えて腑抜けを装っているという。
それも、殆ど顔を合わせたことのない父を、激しく憎むと同時に強く執着しているが故。
自分や母を省みることなく、父が大事にしていた街など守って堪るか、いっそ滅びれば良いとすら思ってる訳ですね。
だから、『白龍』の椅子を狙って、こそこそと暗躍しようとする(でも、抜けてる/苦笑)
叔父の老簫(ラオシャオ)を放っておき、時々、暇潰しにからかう以外は、父の墓参だけして虚ろに過ごし、
更に街の人々からの評判を自ら落としている状態となっておりました(苦)。
ここだけでも、マクは相当ひねくれた性悪だなと分かる訳ですが(笑)、彼の育ちを考えると…
ううむ…親の子に対する無関心っていうのも、ある種の心理的虐待ですからね〜…(汗)ひねくれるのも無理はないかも。
しかも、後々一緒に暮らしていた母親からもそのような待遇をされてきたことが発覚しますしね。
しっかし、マク父の『大龍(ターロン)』って、ことあるごとに、その英邁さを称えられてますが、
一人息子がこんなんなってるところからすると、街の主としては英邁でも、親としては物凄く不器用…
或いは、隠れ性悪(笑)だったんではないかと疑ってしまいます…
…って、マクのことだけで随分語っちゃったよ!
そんなことより(?)飛くんだよ!飛くん!!
白龍一の歓楽街『花路(ホワルー)』を取り仕切る頭(トウ)である飛くんは、マクとは打って変わって、真っ直ぐで優しい性格。
彼もまた、赤ん坊の頃に、海に捨てられたという暗い過去を持ち、
今も海に怯えてしまうトラウマを持っていますが、マクのようには(笑)ひねくれませんでした。
細身で美しい容貌とは裏腹な腕っ節の強さと気風の良さで、仲間たちをメロメロにしています♪(笑)
仲間と共に、街を守りたいと強く願う飛くんは、先代『白龍』服喪の間に街を取り仕切り、腐敗に導いた老簫のやり方に反発。
それでも、腑抜けという噂の絶えないマクにも期待を掛けていませんでしたが、
偶然顔を合わせたとき、マクが噂とは違うことを見抜きます。
というか、火花が散るように(笑)視線が合ったが最後、互いに視線を外せなくなってしまうほど、
強烈に惹かれ合ってしまったのです(笑)。
そんなときに、若い娘好きの(苦笑)老簫が、館に無理やり囲っていた歌姫、春華(ツンホワ)が、
マク暗殺の企みを知ってしまい逃げ出すのですが、なんとその娘は、白龍の出身で、
『花路』の若者、小虎(シャオフー)の幼馴染でした。
つくづく抜けてる小悪党だな、老簫…(苦笑)
その幼馴染を娘が頼ったことを切っ掛けに、老簫の企みを知った飛くんは、
ついに午睡中の半龍(マク)に接触を図ることを決心する…とまあ、そんな辺りまで書かれております。
小虎が春華と一緒に身を隠す海に面した崖下の洞穴に向かう際に、飛くんが海を怖がっていることを知っている羅漢(ルオハン)が、
飛くんを引きとめようとする場面が、実はちょっと好きだったり。
それを飛くんが意地で突っ撥ねちゃうのが、飛くん←羅漢みたいでねえ♪
姫総受状態は私の望むところです(笑)。
花路(ホワルー)の龍玉
先の章題で色々と語っているので、ここでは短めにいきます(笑)。
飛くんがマクに接触して、マクが飛くんに絆されて、やる気になる(『龍』をですよ/笑)ところまで描かれてます。
「龍玉」と最初に口にしたのは、白龍屋敷執事の万里(ワンリー)です。
彼もまた、飛くんと同じように、マクに『龍』としての資質があると見抜いていたのですが、
同時に今までの『龍』のように、ただ従っていれば良い主ではないことも見抜いていました。
故に、飛くんに、マクという気まぐれな『龍』を街を治めるように導く「龍玉」となれ、とアドバイスするのです。
そのアドバイスを受け入れて、飛くんは自ら人身御供となる(笑)覚悟を決めるのです。
一方、マクは飛くんが気になりつつも、自分に期待しているのなら、
ガッカリさせてやろうと、敵方も呆れるほどの腑抜けッぷりを披露して見せます。
用心棒として付いた飛くんのことを「退屈を紛らわせる玩具」と言って、怒らせてみたり。
また、飛くんは敵に馬鹿にされながらも尚、腑抜けを装い続けるマクに苛立ちを覚えるのですが、
刺客に襲われた際、自分の命すら守ろうとしないマクに、ついに怒りを爆発させ、
平手打ちをかますシーンは、個人的には、とても新鮮でした(笑)。
曲がりなりにも、自分の街の領主にしようと思ってる相手を思いっきりひっぱたいちゃう(笑)訳ですから。
まあ、グゥでは殴ってないところに、ご主人様に対しての気遣いがあるとも解釈できなくはないですけど(苦笑)。
飛くんのマクへの平手打ちは、これからも何度かあります。
そんな飛くんの媚びのない強気な姫っぷり(?)は、私の好むところでもあります♪(笑)
マクもね、そんな飛くんの権力者(?)に媚びない態度はお気に召したのではないかと…
飛くんの真っ直ぐな瞳に絆された、とか言ってますし(笑)。
そうして、居眠りから目覚めた龍(マク)は、飛くんという龍玉に導かれて、
見事、老簫及び白龍市を狙う隣市青龍(チンロン)市の寄越した刺客を退け、街の主として、人々に認められるのです。
春到来
やっと、主の定まった白龍市の春!という意味でもありますね。
シリーズ通してみると、嵐の前の穏やかさと言った気もする…(苦笑)
捕らえていた翼人(イーレン)(青龍の刺客)が、老簫を殺して逃げ、
黒幕の『青龍』の元に戻ったという真の敵は、まだ健在だぞ、という状況。
でも、マクと飛くんがお互いを運命の相手と認識し(?)、
新しい人生の門出を迎えた(??)という点では、上手く纏まっている清々しいラストだと思います。
場面としては、白龍市の『龍』が祭りの親となって執り行う大春節で、メインの花路の龍舞(ロンウー)が行われるところ。
花路の頭である飛くんは、もちろん龍玉を持った龍の先導役。
未だかつて無いほど美しい花路の頭を迎えて、観衆が沸き立つところに、私は胸がきゅんきゅん(爆笑)しました♪

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