龍は花を喰らう―章題から見る四龍島―
夜花芳香(やかほうこう)
ロマンチックなタイトルですが…嵐の序章といった内容です。
白龍(バイロン)市に根を張る阿片窟とその元締め、黄羽(ホワンユイ)を何とかしたいと思う飛くんたち。
変わり果てた飛くんの昔の顔見知り、楊(ヤン)が阿片の毒で死んだことを切っ掛けに、
本土で禁制となった阿片よりも中毒性の高い夜花丹(イエホワタン)の存在と阿片窟、更に青龍(チンロン)市との繋がりを知った飛くんが、
青龍市の酒造組合の招きで、青龍市に赴くマクに従って、調査に乗り出す…という辺りです。
つー訳でタイトルは、「夜花という名の毒の気配」…と言い換えられるでしょうかね?
全体れびゅでも散々突っ込んでおりますが、不幸にも亡くなってしまった楊という青年!
飛くんの養父である師父(シーフ)が営み、飛くんも給仕としてお手伝いしている茶房の常連客だったのですが、
飛くんのことが殊にお気に入りで、師父にさんざ養子に欲しいとお願いしていたのだとか。
その理由が「白い牡丹の花に似ているから」って…!!
幾ら牡丹好きだからってさあ…万一養子にもらえたら、飛くんをどうする気だったんだろうか?(笑)
…まあ、そんな風に気に入っていたからこそ、夜花丹の毒ですっかり正気を失っていても、
今わの際に、飛くんを見分けられたのかも…(哀)
また、ここの章ではですね!黄羽の暴言に腹を立てた飛くんが、
そこにあった木の椅子を叩き壊す、という彼にしては珍しいびっくりシーンがあるのです!
常に人を思いやることの出来る飛くんも、やはり人の子。
いや、思いやることの出来る子だからこそ、黄羽のおっさんの失礼な物言いに、激昂してしまったのでしょう、うん!!
そう言えば、マクへの平手打ち未遂もありましたな〜…
これは、黄羽から賄賂としてもらった阿片を焚きながら寝ていたマクを発見した飛くんが、
血相変えて叩き起こそうとしたからなので、無理も無い(笑)。
ここでは、人目を憚ることなく、飛くんに膝枕を要求するマクもポイントです♪(しかも、すげなく袖にされてるし/笑)
青花園(チンホワユァン)
これもそこそこロマンチックなタイトルですが、花園は花園でも、毒花の園です、色んな意味で(笑)。
夜花丹然り。まだ、本格登場には到らないものの、美しいけれど冷酷な『青龍』も然り。
花守(?)の毒蛇(翼人)もいるしな!
まあ、結局飛くんたちの予想通り、夜花丹は青龍が白龍に流していたことが判明し、『青龍』の姉が住まう花園(ホワユァン)で、
牡丹の花に根接ぎをするという形で、密かに育てられていたそれを飛くんが全て焼き払って、白龍へと帰ります。
その花を育てていたのが、実は、花園で庭師として雇われていた楊だったという…
もちろん、夜花丹が毒だとは知らなかったようなのですが。
恐らく、毒だと知って騒ぎ始めたのを、邪魔に思われて、夜花丹漬けにされてしまったようですね〜…
身寄りのいない白龍に向かう船で、日の当たる場所に戻りたいといって泣いていたという彼を思うと、何か切ないです。
そんな彼の無惨な最期も知らず、密かに想いを寄せている花園の侍女
(しかも、これらの悪事の中心人物たる『青龍』腹心の娘だったりする)もちょっと切ないです…
話を飛くんに戻して(笑)。
飛くんは、執事見習いと偽って、マクに同行して青龍入りするのですが
(しかも実際に屋敷にいる執事の万里(ワンリー)と名乗って/笑)、迎えられた青龍の色街・高楼街(カオロウチエ)で、
接客の娼妓に肌が綺麗だ、と構われまくったりします(笑)。
更に、高楼街で唯一の男娼館に入れる、とからかい混じりに言われるのですが、
次の日、件の男娼館の主人から早速スカウトされちゃうあたり…流石!流石だよ、飛くん!!(笑)
その男娼館が夜花丹を黄羽を通じて白龍に流した疑いがあったので、飛くんはその誘いに乗って、そこに乗り込むのですが、
現れた青龍の刺客・翼人に無理やり夜花丹の毒を吸わされ、捕らわれてしまいます。
この章では、青龍の刺客・翼人が、赤ん坊だった飛くんを海に投げ入れた張本人だという衝撃の事実が明らかになるのですが…
貧しかった子ども時代の翼人が、金と引き換えに、赤ん坊を殺した…
そのことが、刺客としての道を歩む切っ掛けになったのだと、翼人は飛くんを責めたてます。
全くもって理不尽な逆恨みなのですが、切羽詰まったような彼の様子を見ていると、
ただ批難するだけではすまない気もしてしまいます…というか、飛くんもそのように受け取ってる感じなんですよね!
そんな甘いとも取れる感傷(それは飛くんの弱点であると同時に、強みでもあるのですが)をマクは容赦なく切り捨て、
飛くんに過去の夢ではなく、今ある現実を選ばせるのです。
花園での死闘の末、翼人が喉を牡丹の添え木に貫かれる場面は、
舞台が花が咲き乱れる美しい場所であるだけに、何とも鮮烈で凄惨です…
飛くんは、マクに促されるように、瀕死の重傷を負った翼人に、止めを刺すのです。
マクのいけずっぷりはもう…
飛くんが捕らわれた花園に颯爽と現れたはいいものの、結局、武器を渡して、
毒でふらふらの姫君自身に敵と戦わせるんだもんなあ…(苦笑)
戦う凛々しい姫は好きなので、良いんですが。
マクは素敵な王子様にはなれないな!!(笑)
遠き波間の夢
波間の夢とは、目も開かない赤ん坊の頃に、
海に投げ捨てられた過去を持つ飛くんにとっての悪夢ですね。
その悪夢がマクによって、遠いものとなる…見なくなる、という意味合いでしょうか。
夜花の毒が完全には抜け切っていないのに、阿片窟とその元締め、黄羽を叩くべく、活動する飛くんがカッコよい♪
寸でのところで、逃げ出した黄羽を、西海風(シーハイフォン)の舟子頭の李(リー)が海の上で殺めてしまうのですが
(頭領を殺されたことに対する復讐ですね)、飛くんはそのことが分かっていながらも、
一切口にせず、マクにも黄羽は取り逃がしたと自らの失態とするところがまあ、漢前!!
そうして李に、どんな残酷な運命でも知り合えたことを感謝すると言う姿に感激。李も思わず男泣き!!(笑)
しかし、どんなに憎い相手でも、人を殺すのは全然良いもんじゃないと李が泣く姿には、しんみりさせられました。
優しい男なんだよね…李ってば。黄羽の飼い鳥の金糸雀も逃がしてあげてるし。見掛けが優男風なだけに?(意味が違う!)
その優しさに、翼人を殺めた飛くんの胸の痛みが少し癒されるという…
でも、翼人の件は、仕方なかったと思うのよ、あの状態では翼人は助からなかったと思うし。
何より、その死に際の穏やかさを思い返すと、飛くんは逆に、翼人を救ったのではないかと、飛くん好きは思うわけです。
…だとしても、やっぱり辛いことには変わりないのですが(汗)。
この章のメインは、マクの飛くんへのエンゲージピアスプレゼント♪ですね。
実は、黄羽の袖の下である翡翠から作った物だというところが、ちょっとオイオイな気もしますが(苦笑)。
一応、一番上等な一欠けらで作ったようだし、送り主はどうであれ、石自体に罪はないもんね!ということで(笑)。
そんでもって、マクは飛くんが二度と悪夢に捕らわれないよう、夢見る暇さえ与えてやらないと強引なプロポーズ♪
また、ここで阿片や夜花が齎す夢も現には勝らない、とマクが飛くんに言うのですが、
その現って飛くんのことね?!と、私はときめいたりしていました♪
肝心の飛くんにはあまり伝わっていないようでしたが(苦笑)。
しかし、前作の「現も詰まらん、夢も詰まらん、生きていることすら詰まらん」なマクとはえらい違いです。
今は飛くんがマクの生きがいなのねん♪(どんな生きがいかはまあ色々…/笑)

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