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『花鬼幻燈』

 

四龍(スーロン)島シリーズ通算三十二作目となります「花鬼幻燈」。

今回の主な舞台は本土となります。

まずは、表紙イラストのコメントから。

前作「花龍神話」では、どうしちゃったの?!と危ぶまれた浅見さんのイラストでしたが(苦笑)、

今作ではほぼ、元の美しさが戻っていて、ほっと致しました。

黒を背景に、白い袍(パオ)…飛(フェイ)くんは短衫(トアンシャン)かもしれないけど(笑)、

とにかく、白い衣裳を纏ったお約束のマクと飛くんのツーショットであります♪

マクが美形で、飛くんが美人だ…♪♪(それしか言えない/笑)

欲を言うなら、もう少し背景もしくは衣裳を描き込んで頂きたかったとは思うのですが、贅沢は言わない!

飛くんが美人なら良い♪♪(笑)

 

帰鬼節(ききせつ)、恨みを残す魂魄が灯火に浄められ天へ帰る祭礼の頃。

四龍島西里に本土から阿片が上等な洋灯に仕込まれ持ち込まれた。

同じ頃、白龍(バイロン)屋敷には伍(ウー)家から祭礼の招待状が届く。

禁制の品の捜査と因縁ある伍家の招待に応じるべく本土へ乗り込むマクシミリアンと飛。

歓待の宴の晩、伍家当主がよこしたのは、亡き母を思わせる銀糸の髪の幽鬼のような女だった。

四龍島シリーズ待望の最新刊!

 

                                               (文庫折り返し部分より)

 

そうとも!

毎年、毎年、待ち望んでおりますよ〜!(笑)

あ、ちなみに補足。

「亡き母」ってのは、マクの母です。

お分かりとは思いますが、飛くんのお母さんも既に故人なので一応。

 

さて、話は、本土から四龍島への船旅の途中、心臓病(?)で、死んでしまった男が荷として持ち込んだ洋灯の中に、

阿片が仕込まれていたことが明らかになったところから始まります。

死んだ男が乗ってきた船は、白龍の大船主、西海風(シーハイフォン)の船、ということで、

この話は、身内の千雲(チェンユン)から、花路(ホワルー)へとすぐさま知らされます。

そして、飛くんもまた、すぐさまこの話を持って、白龍屋敷へと上がりますが、

そこにはちょうど頃合いを見計らったかのように、本土伍家から、来る帰鬼節の宴への招待状が届いておりました。

阿片持込の一件に、伍家が絡んでいるかもしれないと睨んだマクと飛くんは、その招待に応じて、本土へ行くことになるのです。

いつものとおりマクは退屈しのぎの暇つぶしのつもりで。

飛くんは阿片に関する捜査の他に、お愉しみの為なら手段を選ばないマクの見張りまで、こなさなければならなくなります(苦笑)。

しかし、さすがに慣れたのか、飛くんは全く平気そうで、旅先でのことを案じるクレイに自信の笑みすら見せるのです、が。

 

本土へ向かうマクと飛くんに同行するのは、白龍屋敷身内の他に、里帰りしたいクレイ、飛くんサポートの羅漢(ルオハン)です。

本土が舞台となるだけあって、今回はマクが育った外人居留区の内と外での違いというのが、改めて明らかになりました。

居留区の外では、外国人との間に生まれた髪と目の色が違う子供は、「半鬼(ハンクォイ)」と呼ばれ、

居留区に住まうことの出来ない外国人と共に差別されます。

まるで、遙かの「京」の鬼のようですね。

いずこの世界でも、集団は他と違う外見的特徴(内面的な思想信条なども場合によっては取り沙汰されますが)が、

あるだけで差別しようとするもんです、一体何なんでしょうか(怒)。

初めて、幼い混血の子供が大人に追い掛け回されているのを目の当たりにし、

そんな実態をクレイから聞かされた羅漢は、こう言います。

 

「半鬼。鬼、か。ああして口汚く罵りながら幼い子供を追うもののほうが、よほど鬼らしく見えるぞ」(57頁)

 

全くもってその通り!!

 

さて、マクと飛くんは、伍家当主の招きで、帰鬼節の晩まで、伍家に滞在することになりました。

その歓待の宴で、伍家当主、天鳳(ティエンフォン)(本当は老天鳳(ラオティエンフォン)という呼び名なのですが、

私はこやつを目上の人の尊称と思われる「老」を付けて呼びたくないのです/苦笑)は、

鬼花(クォイホワ)と呼ぶ銀糸の髪の愛妾をマクに、贈り物と称して寄越すのです。

その髪色のみならず、人形のように生気の無い幽鬼のような彼女の姿に、飛くんはマクから聞かされた彼の母を重ね合わせます。

そうして、マクもまた、彼女に母の面影を見出し、その母の面影に引き摺られるのではないかと、不安を覚えるのです。

しかし、その不安が的中したように、飛くんの止めるのを聞かずに、

天鳳の勧めるまま、マクは鬼花と一夜を過ごすことにします。

飛くんは、諌める言葉が見付からず、訳の知れない危惧と鎮めかねる腹立たしさを抱えたまま、

部屋を出て行くしかなかったのでありますが…

この時点でマクは、天鳳の愛妾に手を出さないだろうことは目に見えてると思うのですが、どうでしょう(苦笑)。

鬼花が、マク母に似ているなら、尚のこと。

しかも、自分にも似てるとあっちゃあ、手を出してしまったら、マク、ナルシーじゃないか(苦笑)。

しかし、そこんところは、飛くんには分からないみたいです(笑)。

ところで、天鳳!

宴の最中、技とらしく失言めかしてマクのことを「半鬼」と言い掛けるのには、ちょっとかちんと来ました。

嫌な奴じゃ!

そして、奴はやはり、阿片持ち込みの一件に絡んでいた模様。

 

紅海(ホンハイ)の港に宿を取った羅漢は、しばしば、伍家を抜け出してくる飛くんと落ち合って、

情報を交換し合いながら、阿片を仕込んであった荷箱に押されていた「舶」の印から荷の出所を探っていました。

クレイの協力も得つつ、「舶」の名の付く舶来品を扱うたくさんの店を片っ端から調べますが、

どの店の印も例の荷箱の印とは一致しません。

しかし、阿片窟界隈を探索していた折、男たちに酷い目に遭わされそうになっていたのを飛くんが助け、

居留区の王老人(ワンラオレン)の元に預けた混血の娘が、『舶来館』という名の店を教えてくれます。

感じの良い店と教えられたので、探している店ではないだろうと、

聞いた羅漢は思いますが、実はそれが探していた店里だったのです。

また、その店の近くで、昼間、羅漢が追われているのを見掛けた幼い子ともに、

布を被って姿を隠した鬼花が駆け寄り、抱き締める姿を飛くんたちは見ます。

その前の伍家の宴の席で、席を外した彼女の思い詰めた表情と、話した折のふいの涙を見ていた飛くんは、

追い掛けてきた船子の男たちに、子供から引き離される彼女の哀しみに満ちた表情を見て、

彼女が幽鬼などではなく、血の通った人間であることを改めて確信します。

更に、そこから逃げた子供の後を追って『舶来館』に辿り着いた飛くんたちは、

店の様子が娘から聞かされたのとは違うことに気付き、

後から子供を連れにやってきた舟子の身内らしき女から、『舶来館』のことを聞き出します。

その話から、娘が感じの良い店と言っていたのは、以前の『舶来館』のことで、前の主人が、

さる大家の使いから注文を持ち込まれた高価な洋灯が荷崩れして、駄目になってしまったが為に、

借金が嵩み、とうとう自害してしまったこと、その主人の妻が鬼花、本当の名は洋花(ヤンホワ)であったことが分かります。

この、前『舶来館』主人がいい人なんだよなあ…

ちょっとくどくなりますが、鬼花の素性をここでも紹介しますね。

 

そもそも鬼花は、居留区の屋敷に仕えていた使用人でした。

『舶来館』主人がその屋敷に出入りしていた縁で、言葉を交わすようになり、

やがて、『舶来館』主人は、鬼花が相当の目利きであることに気付きます。

その感心が次第に慕情へと変わり、あるとき、鬼花の仕える屋敷の主人が商売に失敗して、

故国へ帰ることになり、使用人は見捨てられ路頭に迷うことを知ります。

五、六年前のその日はちょうど帰鬼節でした。

『舶来館』主人は迷わず、鬼花の元へ行き、求婚します。

自分は若くないし、見目も良くない、楽な生活もさせてやれない、それでも貴方をとても好ましく思っている、

よければ一緒になってくれないかと、祭礼に供える絵蝋燭をせめてもの求婚の贈り物にと携えてきてくれるのです。

鬼花は、自分は居留区の外では「半鬼」と差別される存在だと躊躇いますが、主人は「舶来の皿にも、

染付けの壷にも、それぞれの美しさがある。目にする喜びに変わりは無い」と言ってくれるのです。

ええ人や…(涙)

そうして、『舶来館』主人と結婚した鬼花は、夫の商いの手助けをし、やがて、店にも出てくるようになります。

店番が異相の女ということで、最初こそ客足が減りましたが、次第に贔屓の客が付き、子供も生まれます。

時折、彼女に嫌がらせをする舟子の男もいましたが、その度に旦那さんが庇ってくれていたそうで、

鬼花は見るからに幸せそうだったそうです。

しかし、そんなときに大事な荷が崩れ…

彼女が「半鬼」だからだと言うだけの理由で、美男だった大家の使いに言い寄られ、

彼と一緒にいたいが為に技と荷を駄目にしたという酷い噂が流れます。

鬼花は怒って否定し、夫の主人もちゃんと庇ってくれたりしたのですが…とうとう主人は追い詰められて自害してしまいます()

主人はそんな酷い現場を見せまいとしてか、彼女と子供を遠くの使いにやらせるのですが、途中、

忘れ物を子供に取りに行かせたが為に、父の死を目の当たりにしてしまい、そのショックで記憶喪失になってしまいます。

そうして、そんな子供を知り合いの舟子に預け、鬼花は姿を消したのでした。

酷い話です…

 

鬼花の話を聞いた後、現在の『舶来館』の荷蔵に、はずれるようになっていた窓格子から忍び込んだ飛くんは、

荷箱の印と、更に、阿片の入った荷箱を発見します。

しかし、見張りに見付かり、逃げる際に、店里の傍につけられた俥から、

伍家の宴で客として連なっていた商人風の美男が出てくるのを目にするのです。

それらのことから、飛くんは、前『舶来館』の主人が、伍家の思惑によって利用されたことに気が付くのです。

鬼花がそのことを知っていて、夫を追い詰めて死なせた伍家当主、

天鳳に復讐する為に、商人風の男に勧められるまま、奴の愛妾となったんじゃないかとも考えられますね。

飛くんもまた、彼女の思惑を悟り、彼女と彼女の子供の為にこそ、何とか、復讐を思い止まらせようするのです。

 

・「花鬼幻燈」ベストオブイラスト

 

今回は…いつもとは違う意味で(笑)悩みました。

表紙イラストを除いた一色イラストでは、今回、ぱっと目を惹くものがなかったのですよね。

どのイラストの飛くんも、綺麗で凛々しいのですけれど♪

敢えて、挙げるなら、

 

181頁のイラストかな。

 

鬼花に会えぬまま、帰鬼節の宴が開かれ、その宴の席で、鬼花の動きとと共に、ずっと母親の面影に捕らわれているような、

何処か虚ろなマクを気にしてじりじりしているところを、マクが振り向いて、揶揄する場面を描いたツーショットイラストです。

鋭くも涼しい眼差しで、マクを見返す飛くんが、素敵かなと♪

…と、いつもより、コメントが抑え目です(笑)。

 

さて、祭壇に絵蝋燭を供える段となり、ついに鬼花が夫の仇を討つ覚悟を決めたことを悟った飛くんは、

彼女を止めに出ようと席を立ちますが、やはり(苦笑)、それをマクが邪魔します。

飛くんが花路の頭(トウ)であることをこの場で明かし、飛くんに舞を見せるよう命じるのです。

飛くんは仕方なく、しかし、鬼花を除いたその場にいる者皆の目を奪うほど見事な剣舞を披露します。

その間、飛くんが、元『小黒龍(シャオヘイロン)』であったことも、天鳳にそれとなく教えるマク。

しかし、そう教えられる前から、飛くんに見覚えがあった天鳳は、自分の胸倉掴んで四龍島に手を出すなと、

脅してくれた相手だと薄々感づいていたようです。

そこで、天鳳は飛くんを、「西里に咲く白き花」(189頁)と譬えたマクに、

マクが気に入っているらしい銀の花(鬼花)と取り替えないかと戯れに持ちかけるのです。

さて、さっさと舞ってみせた後、飛くんは、寸でのところで、鬼花がそれまで肌身離さず持っていた、

亡夫の形見の絵蝋燭に仕込んでいた刃を振り上げるのを、人目に立たぬよう阻止するのです。

が、またも、マクが邪魔を。

飛くんが鬼花を止めることに必死で、つい手放してしまった飾り刀を、鬼花の目の前で拾い、差し出すように見せるのです。

結果、鬼花は反射的にその刀を奪い、天鳳にその刃を向けてしまいます。

しかし、不意打ちに失敗した今となっては、襲撃が成功するはずもなく。

鬼花は天鳳を少しも傷付けることなく、復讐の機会を断たれてしまいます。

そんなとき、マクがとんでもないことを言い出します。

先ほど天鳳が持ち掛けた戯れめいた誘い…飛くんと鬼花を取り替えるという話を受けると。

そうして、飛くんは鬼花を救うために、天鳳の夜伽の相手を務めることになってしまうのです!!

 

・「花鬼幻燈」名場面

 

…と、いう訳で、腐った(笑)私がピックアップするのは、飛くんが天鳳と奴の寝室で対峙する場面です。

195頁〜212頁の辺りですね。

注目は、四龍島各市の『龍』を制覇した受け姫(何その呼び名…)飛くんが、ついに本土伍家をも制覇!!

ということろです(嘘)。

だって、『青龍(チンロン)』(麗杏(リーシン))とは、えすえむごっこをしたし(語弊大有り)、

『朱龍(チューロン)』(夏燐(シアリン))や『黒龍(ヘイロン)』(冬眠(トンミェン))には、実際に押し倒されたし(けど未遂/笑)、

『白龍』(マク)は常日頃からセクハラの嵐だし!!(笑)

『小白龍』(翠星(ツオイシン))や『小黒龍』(雷英(リーイン))にも、好かれているしねえ♪(笑)

 

ま、それはさておき。

この名場面(笑)は、少し詳しくストーリーの流れを紹介していきたいと思います♪

身を浄められ、着替えをさせられた飛くんは、主人の元に、美男が上がるなど初めてだ、

しかし、心を動かされるのも分かる美しさだと、侍女にくすくす笑われつつ(笑)、天鳳の寝所に上がる支度をさせられます。

マクの話に乗った天鳳を、側近たちは、剣舞から窺えた飛くんの腕前から、危険だと言って諌めますが、

天鳳は聞かず、先ほど自分の命を狙った鬼花のことにさえ関心を払いません。

彼女を助けたかった飛くんにとっては、幸いとも言えますが…代わりに自分がピンチ?(笑)

しかし、臆することなく、寝所にやってきた飛くんに、

天鳳は「北里の『龍』の血筋に連なるものをいたぶり、西里の『龍』の掌中の玉を傷つける……

わざわざ波を越えていかずとも、四龍島四市のうちの二市を踏みしだく心地よ」(199頁)なんぞと言いやがります。

つまり、四龍島を手に入れたくとも叶わなかった憂さを、

上記のような身の上の飛くんを組み敷くことで晴らそうと言う訳です、大人気ない…(苦笑)

ちなみに、天鳳は「背高く、姿良く女であれば誰しもがそばへ寄りたいと願うであろう、堂々たる美男」(199頁)だそうですが、

浅見さんのイラストを拝見する限り、そんなでも無い感じ。

言ってみれば、マクの出来損ないみたいな(ヒデエ/笑)。

容貌からいえば、マクのことを「半鬼」だと蔑んでいる天鳳の方が、どうもレベルが低いようですよ?(嫌味?)

いやいや、きっと、マクと飛くんのレベルが高過ぎるだけで、そこそこの美男ではあるのでしょう(皮肉?)。

そんな天鳳は、飛くんが正面切って、鬼花の素性を明かし、続いて阿片のことを問い質しても、しらを切りとおします。

他の命を平然と踏みにじり、その痛みを思い遣ることの無い天鳳の態度に、抑えきれない怒りを覚えてしまう飛くん。

飛くんが睨むのを不思議がりつつ嘲笑った天鳳でしたが、飛くんが踏みにじられた人々の恨みや憤り、

哀しみを想い、自分でも気付かぬうちに零した涙に、得体の知れない恐れを覚え、黙り込みます。

飛くんを嬲る気をなくし、人を呼ぼうとした天鳳の口を、飛くんは不意に手で塞ぎ、その四肢を押さえ込みます。

ただ、押し倒されるだけの受け姫ではないのです、飛くんは!!(笑)

そうして、天鳳を黙らせた上で、飛くんは天鳳を庇ったのではなく、鬼花とマクを守ったのだと言い切ります。

更に、珍しい宝や花を集めることばかりに時と財を費やしては、飽いて捨て、また求めるという虚しい遊びに興じるよりも、

領主であるなら領主らしく領地の民を慈しむべきだと天鳳を叱り付けます(笑)。

流れる涙をそのままに、天鳳が内心抱えていた虚しさを言い当てつつ、お説教する(笑)飛くんに何を感じたのでしょうか、

抵抗を止めた天鳳は、ふいに、飛くんに自分に仕えるよう誘いかけます。

恐らく、奴の周りには、おべっかと悪巧みばかりが上手い側近しかおらず、

主としての正しい道を説くことは勿論、胸のうちに秘めた飢えた心を見抜く側近もいなかったのでしょう。

それに、抱えている愛妾が強気な美人ぞろいなところから見て、飛くんが好みにドンピシャだったというのもあるのかも(笑)。

誘いに応じるなら、鬼花を愛妾として抱えなおし、その子を屋敷に仕えさせてると持ちかける天鳳。

そして、飛くんは身内として召し抱えて、上等の衣裳、

飾りを用意させる(飛くんに対する扱いのほうが愛妾に対するものみたいです/笑)と、

こやつにしては、熱心に口説いたようですが、飛くんがそんなものに心惑わされるはずもなく。

飛くんはきっぱりと誘いを拒み、本土に来てから絶えずその存在を感じてきたマク母の幽鬼と、

天鳳、そして、自分にも言い聞かせるように強く言い放つのです。

「俺は、西里主人の庭に咲く花だ。決して、余人の手に摘まれはしない」(212頁)と。

見事振られた天鳳は、別れ際、「好(ハオ)……白花(バイホワ)」(212頁)と、得損ねた花を惜しむ声音で呟いたのでした。

伍家のお坊ちゃま(…つっても30過ぎの男ですが/爆笑)、初めての失恋(笑)。

でも、これで奴は、本当に諦めたのかな〜?

……というか、諦めてほしくないんですが!と、ここで自分の正直な気持ちを白状(笑)。

 

居留区の館に連れて行かれていた鬼花は、復讐の機会を奪った飛くんを責め、

舌を噛んで自害しようとしますが、それずらも飛くんに阻止されてしまいます。

絶望して、亡き夫を呼ぶ彼女に、飛くんは彼女が置き去りにした幼い子供のことを問います。

その問いに彼女は、夫が陥れられたっことを知ったときから、

恨みとに憎しみしか抱けなくなってしまった自分から、子供を守るためだったのだと応えます。

恨みと憎しみに支配された醜い自分の姿を、子供に見せてその心を傷付けたくなかったからだと。

そんな彼女に、飛くんは、亡き師父の話をします。

そうして、子は親から与えられるばかりではなく、子から親に与えるものもあるのではないかと言うのです。

鬼花の子供が、彼女の恨みや憎しみを癒してくれるのではないかと言う訳ですね。

ちょうどそのとき、羅漢と阿片窟で助けられた娘が、鬼花の子供を連れてきて、

母を呼びながら駆け寄ってきた子供を、鬼花は泣きながら抱き締めるのでした。

どうやら、彼女はクレイの実家の宝石店が新たに居留区内に開く店に雇われることになりそうです。

それから、マクの元に行った飛くんは、マクが鬼花に全く手を出していなかったことを知らされるのでした、やっぱりね(笑)。

「もしも、やすやすと信じ込み、それでも平然と女の面倒をみていたのなら……

夜が明けるまえに、魂魄が彷徨うほどの目に遭わせてやるが、どうだ」(230頁)

と、飛くんが自分を信じていなかったことを責めるマク。

なるほど、二日目の夜に、いささか乱暴に飛くんを寝台に押し倒した(未遂です/笑)のは、

その苛立ちがあったからなのね!え?違う?(笑)

一方、飛くんはマクが心に抱えている自分には分からない闇が気になっていたが為に、

自分こそがマク母の幽鬼の幻に囚われていたことにやっと気づくのでした。

そうして、めでたく(?)飛くんが、暗い気持ちを振り切って、「花鬼幻燈」は了となります。

あとがきで、「飛くんがジェラシー」みたいなことが書かれていましたが、どうかな?

確かに、鬼花と夜を過ごすことになったマクの部屋から出て行くとき、思わず、扉を音を立てて閉めちゃったり、

次の夜、マクに押し倒されて、昨夜は鬼花に触れた癖にと、激しく拒絶するところなんかは、

全く妬いていないわけではないとは思うのですが(笑)、結局は、鬼花に親身になってあげていたしね。

ちょっとは心が揺れても、飛くんらしい優しさや冷静さが失われることが無かったので、

あまり妬いているという印象が無いのかも。

相手が子供であろうと飛くんに近づく奴には容赦ないマクとは大違いです(笑)。

まあ、そんな所が飛くんらしさであり、私が飛くんを好きな理由のひとつでもあるのですが♪

焼きもちを妬いて、相手の女性にまで八つ当たりするような飛くんは、最早飛くんじゃないよ!(苦笑)

 

やっぱり、私は飛くんが好きだなあと改めて確認したところで(毎回確認してる/笑)、

こちらのれびゅも締めさせていただきたいと思います。