龍は縛める
四龍島シリーズ六作目は『龍は縛める』です。
また、妖しさいっぱいの題名……というか、何より表紙イラストが凄いんですけど!!
裸体に薄布一枚纏っただけの飛くんが、マクに抱かれてるんですよ!!!ギャーッッ!!(興奮)
飛くんの背中に纏いつく神龍の刺青が!細い腕が腰が!!目に眩しいですっ♪
しかも飛くんを抱いてるマクの手……半分ケツ(失礼)を触ってそうな、いやらし〜い触れ方なんですが!!
本屋でこれ買ったとき、ちょっと恥ずかしかったです……(青い思い出だ…)
のっけから興奮気味ですが(笑)、あらすじ紹介行きましょう。
本編は表紙イラストほど、あからさまには妖しくない…筈?
朱龍(チューロン)市は、女性領主を戴き、女性が商いを取り仕切る"女の街"である。
一計を案じて単身朱龍入りした飛(フェイ)は、到着早々、
悪質木材商の材財房(ツァイツァイファン)にかどわかされる。
屋敷には少年桃(タオ)と樹林房(シュリンファン)の身内の女性、玲泉(リンチュアン)が捕らえられていた。
二人を逃がすために立ち回っていた飛を、危ういところで救ったのは、
白龍(バイロン)市にいるはずのマクシミリアンだった…。
ますます目が離せない、四龍(スーロン)島シリーズ第6弾!
(文庫折り返し部分より)
おっ、今回は珍しく話の内容がほぼ合っていますよ?(笑)
うっとりな♪娼妓姿で無事朱龍入りした飛くん。
途中で遊山のために朱龍を訪れた梅雪楼(メイシュエロウ)の一行と離れて、
商い申し入れの書状を携え、単身樹林房へと向かいます。
朱龍で彼のような美男の一人歩きは禁物、とのことで当然女姿で行動です(笑)。
流石に動きにくい娼妓姿ではないものの、髪と衣装で飾られただけで、
化粧無しでも絶世の美女で通ってしまう飛くんに万歳♪
しかし、あまりにも美人であったために、早速↑の悪徳材木商、
材財房主人の男妾である梁(リャン)にナンパされてしまうのです(笑)。
しかも、どさくさ紛れに身体に触れられて、すぐに男と見破られちゃって女装した意味なし(苦笑)。
この梁、飛くんが男だと分かって、口説くことは諦めたものの、
道に迷うような素振りを見せた飛くんを優しい言葉で、材財房へと誘います。
材財房主人と引き合わされ、いかにも悪巧みの似合いそうな二人と共に、
彼らの店里(ティエンリー)へと向かった飛くんは、玲泉が外に出る出ないで材財房の身内と揉めて、
結局無理矢理内へと戻される現場を目にします。
その後、一人入れられた部屋のうち、出された茶に眠り薬が入れられていることを察した飛くんは、
思ったよりも性質の悪い材財房から案内を頼むことは出来ないと判断し、早々に逃げ出すことに決めました。
そのとき、玲泉を救い出すために、偶然飛くんが入れられた部屋に潜んでいた桃と出会うのです。
桃に玲泉を救い出す手助けを頼まれた飛くんは、回り道になることを承知の上で、彼に手を貸します。
取り敢えず、桃、玲泉と共に店里を逃げ出すことの出来た飛くんは、
追っ手から身を隠していたとき、初めて玲泉が樹林房身内であること、
見えない目の具合を医生(イーシェン)に見て貰う為に、
同じく樹林房身内の緑泉(リュチュアン)に付き添ってもらって定期的に市街へ出ていたということ、
そのとき偶然緑泉と知り合った桃が、彼女に世話になった礼として玲泉を助けようとしていたこと、
そして、桃も母を探して樹林房へ向かおうとしていたことなどを知ります。
その後も、色々な事件が重なり、梁率いる追っ手に見付かってしまった飛くんは、
祭礼に賑わう市街で大立ち回りを演じます。
煌びやかな女衣装で大剣を手に、芝居が終わった舞台の上で立ち回る飛くんの姿が素敵♪
頃を見計らって、そこからも逃げ出した飛くんでしたが、不案内な街の中、すぐに追い詰められてしまいます。
行き止まりの道で見付けたのが、茶館の裏口に泊めてある一台の俥。
空と見える俥の中へ咄嗟に身を隠そうとした飛くんは、そこで中にいたマクと衝撃の再会をするのです(笑)。
マクの協力で何とか危地を脱した飛くんは、再び桃と玲泉と合流し、行方が知れない緑泉を気に掛けつつ、
樹林房へと向かうのです。
・「龍は縛める」名場面
毎度、セレクトには迷いっぱなしなのですが…
いっそのこと全部!!と言いたいのがホントの気持ち……
取り敢えず、今回は有名どころのシーン(笑)を取り上げてみました。
↑のマクとの再会後の飛くんの衝撃発言です。
「マ……」
名を呼ぼうとくちびるを開き、慌しく駆け寄る足音に、声を呑む。
驚く暇は、いまはない。
着ている短衫(トアンシャン)の片肌を脱ぎ、帯に巻いていた淡紫の布を背に羽織る。
またしても茶番かと、皮肉なまなざし。
「だれかと思えば、懐かしい顔だ」
と、薄笑いでこぼされる美声を聴く。
飛は、束ねた髪を肩に解き、
「俺を抱け、『白龍(バイロン)』」
(本文107頁より)
な、何ですとぉお!!!(動揺)
様々な憶測が(私の中で/笑)飛び交う中、この飛くんの衝撃発言の後、どのようなことがあったのかは、
結局飛くんを逃がしてしまった材財房用心棒たちの「とんでもない濡れ場を見た」との噂話で明らかとなります。
ひとりが、茶館の裏口の俥に気づいた。
どうやら、なかに人の気配がある。
(中略)
「俺がこの手で帳を上げたんだが、一瞬目ん玉が落っこちるかと思ったね」
俥のなかに、男がいた。
その男が、胸に女を抱いている。
女のほうは、背に髪を乱し片肌を脱いであられもない後ろ姿。
「淡紫の布から透けた肩のあたりが、やたらとこう色っぽくって、そこへつやつやときれいな黒髪が、
ばらりと、もの言いたげにかかってるんだ。少しばかりのけぞるような格好で、男の腕にすがりついて、
よほど夢中だったんだろうぜ。叫び声さえ上げやしねえ」
かわりに男が、
……夫人(フーレン)はお愉しみの最中だ。邪魔をしないでもらおうか。
「男が聴いても惚れるような美声で、ひとこと言ったかと思や、帳を、ばさり、よ。この男が、
目を疑いたくなるような美形でさ。梁のやつも、あいつをまえにしちゃあ、
恥ずかしくって裸足で逃げるしかねえ。俺たちゃあ、そいつの、
そら恐ろしいくらいに冷てえ美貌で睨まれて、すっかり縮み上がっちまったんだ。
光の加減だかなんだかで、目が銀色に見えるんだぜ。その目でこっちを睨んでおいて、
指に巻いた女の髪をひと房、こんな具合に口もとへ持ってってさ……」
それが怖いほど堂に入っていたと、同じ仕草を真似てみせる。
(本文112〜114頁より)
…とまあ、つまりは飛くんとマクとで濡れ場中の男女を演じて、
追っ手を振り切ったとそういう訳なんですが……
↑の飛くんの「抱け」発言もまんざら嘘ではなく…というか、本人、
そのままの意味で言ってるような気もします(苦笑)。
しかし、そんな誤解を招きまくりの台詞を躊躇いもなく…!!
この純粋培養っ子が!!(喜)
そして、艶っぽい後ろ姿だけで、↑の男たちに、「怖いような美女だったに違いない」と噂させるとは、
流石です!
まあ、元々美人なんだけどさ、男だけど(笑)。
あ、純粋培養と言えば、この巻では飛くん、何とびっくり!
女にも口説かれるんですが、相手が半裸状態で迫っているにも関わらず、全く靡かないのですよ!!
うん、でも「らしい」なあ……ニヤリ。
何か、飛くんってそういう(?)欲求が、殆どなさそう。
身も心もより清らかというか♪
肉体的な(!)ものより、精神的なものを求めるタイプなんじゃないかと思うの!!
まあ、こんな辺りにも、彼の純粋培養振りが表れているなあ♪と思っちゃうのですが、どうでしょ?(笑)
妄想ですかね?(苦笑)
・「縛める」ベストオブイラスト!
あう〜、迷います、迷いますですよ〜〜っ!!(悩)
何しろ、今回は飛くん、半分以上女装でしたからね!!
前回同様、その艶姿に注目したいところなのですが、私的に気になることがありまして…
女姿でいるときの飛くんの胸…なんですけど……イラストではちゃんと作ってあるんですよね…(苦笑)
ううん…(唸)ない方が好みだなぁ……(全くもって個人的な話)
それに、飛くんってそういう小細工しないと思う!!(身勝手な決め付け)
そんな小細工しなくても、充分女で通るよ!!!←褒め言葉。
『炎帝を追う』の娼妓姿のイラストでは、胸はなかったのになぁ…惜しいなぁ……(?)
ということで(?)、今回のベストは別のイラストを選ばせて頂きました♪
(本文一番最初の梁にナンパされてる飛くんのイラストも、麗しい上に、
胸が目立ってなくて(笑)お気に入りなのですが)
…で、選んだのはこちら!!
本文251頁のイラストですっ!!
これは、女装と並ぶほどの、ファン必見及び、垂涎の(?)飛くん
初!泣き顔なのです!!!
樹林房に辿り着いた飛くんたちは、すぐに主人に会うことが出来ず、
正房とは高い塀と鍵付きの門に隔てられた離れの客房へと案内されます。
そこで、一晩過ごした飛くんたちに、取次ぎの女性から告げられたのは、飛くんと桃、
どちらか一つの願いだけを叶える、というものでした。
樹林房との商いの再開は、街の為にはどうしても捨てられない願いです。
しかし、飛くんは母親に会いたいという桃に、願いを唱えることを譲ります。
自分は直接、樹林房主人に会って願いを告げることにするからと…ああ、何て優しいの♪
それから、飛くんは緑泉の死や、先客として青龍の刺客、天狼(ティエンラン)率いる阿片屈残党どもが、
飛くんと親しい船主、西海風(シーハイフォン)と花路の名を騙って、
樹林房主人を殺害するために来ていることなどを知ります。
更に、飛くんが樹林房主人に会うために、正房に忍び込もうとした先で、
桃が母親として対面した女性、桃花(タオホワ)に口説かれ(笑)、その際に彼女は本当の母親ではなく、
街で桃と出会い、彼に優しくしてくれた緑泉こそが、彼の母親であったことを知ります。
ようたく叶った樹林房主人、松妙(ソンミャオ)との対面でも、緑泉が桃と同じように、
生き別れになった息子を探していたことを知り、やり切れない気持ちを噛み締める飛くん。
そんな中、飛くんたちの到着を知った阿片屈残党が襲い掛かります。
飛くんはたった一人で、敢然と敵に立ち向かいます(格好良いぞ♪)。
途中で、桃と共に先に逃れているよう頼んだ筈のマクが、桃を連れて助太刀に入り(天邪鬼男参上!)、
彼の協力と恐れず襲撃者たちに立ち向かった樹林房身内たちのお蔭もあって、飛くんは見事、
敵を退け、因縁の相手でもあり、緑泉を直接手に掛けたという、蝎子(シエズ)を倒すのです。
しかし、取り逃がした天狼が、最後に投げた小刀がマクを襲い…何と、その前に飛び出した桃が、
刃を受け、瀕死の重傷を負ってしまいます。
桃花が自分の母親ではないことを薄々感じ取っていた桃は、それでも飛くんのくれた優しさに、
「有難う」と御礼を言います。
桃の手当ての最中、飛くんは桃が今までの飛くんに対する礼として、
飛くんが大事にしている(?)人であるマクを助けるために、自分の命を捧げたことを知るのです。
敷地内にある滝見の亭子で、桃の命が消えていくかもしれない不安に苦しむ飛くん。
そんな彼に対して、マクは平気な顔で、からかうような言葉を掛けます。
「泣いているのか、花路」
まるで心を見透かすような、マクシミリアンの低い問い。
ふざけるな、と言い捨てる喉へ、す、と相手の腕が伸びてきた。
泣いてなぞ、いない。だれが泣くものか。滝の飛沫が頬を濡らすだけだ、と飛は高欄をきつく握る。
(本文245頁より)
ピックアップしたイラストは、だいたい、ここの辺りの場面だと思われるのですが…
とにかく、飛くんの泣き顔は綺麗!!の一言に尽きます。
いつも、撃ち抜かれっぱなしですが(笑)、ここでも見事ハートを撃ち抜かれてしまいました!!(喜)
ときめく風情で(?)打ちひしがれる飛くんに、マクは目の届かないところでも休みなく人は死んでいる、
命が消えるたびに、いちいち傷ついて見せるなら、街を守るなどという台詞は言うなと、責め、
負けを認めろ、そうすれば楽になる、望むならば優しくしてやろう(?)と誘うように口説きます。
欲しければ取れ、と差し出す、飛くんが朱龍へ赴く前に置き去りにした翡翠の耳飾り。
しかし、飛くんはその二人の絆の象徴とも言える耳飾りを滝壷へと投げ捨てて、
断じて賭けからは降りない、と宣言するのです。
その際の飛くんの言葉と思いが実に彼の優しさ、潔癖さを示しているので、ちょっと引用。
「……わかっている。傍目から見れば、これはくだらない感傷だ。
街を守りたいととび出しておきながら、道草をくっている俺は、さぞかし滑稽だろう。
こんなのは、まわり道なのだと、知っている。あんたが嗤うだろうことも、わかっている。だが……」
だが、それでも心が痛まないか。
どうしようもなく、胸が苦しくはないか。
傷ついたのは自分ではないと言い聞かせながら、それでも身を裂かれる辛さを味わいはしないか。
(中略)
見知らぬ命を、嘆くことはできない。
出会わなかった命を、守ることはできない。
だからせめて、抱きしめた人の、暖かいからだを死から遠ざけたい、と。
そう願うことが、愚かだろうか。
それが、とるに足らない偽善だろうか。
それとも、たったひとつの命きりしか、人は大切に抱けないのか。
(本文248頁より)
ああ、自分で引用しながら読んでて、泣けてきちゃったよ……(ぐすっ)
もう、この!飛くんの切ないまでの優しさ!!
そんな貴方にフォーリンラブ(死)。
ま、それはともかく(苦笑)。
その後何とか、桃の命も助かって(この辺りのシーンも感涙もの…)、
飛くんは念願の樹林房との商い再開の約束も取り付けます。
樹林房主人を始め、身内の人々に気に入られ、桃にも慕われて、
本人無意識のままにファンを増やしつつ(笑)、飛くんは白龍へと帰還するのです。
ラストの飛くんの出生を知った玲泉の言動が、私的に気になりながらも、
青龍対決編(いつの間にそんな名称が?)のお話はどんどこ進んでいきます。
と、いう訳で!!今回も長々とお付き合い下さり、どうもでした♪
次回も宜しくして頂けたら嬉しいです!!
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