龍を春天に放つ

四龍(スーロン)島シリーズ十二作目は、『龍を春天に放つ』。
四龍島シリーズ初の番外編となります。
表紙はちょっと油絵っぽい雰囲気のあるマクと飛(フェイ)くんのツーショットイラスト。
当時発売された雑誌『Cobalt』の応募者全員サービスのテレカイラストにもなった奴ですね。
こちらに背を向けた飛くんの横顔が素敵です♪
「男のみならず、姫も背で語る」ってことね!←意味が分かりません(苦笑)。


春の盛り。
マクシミリアンを主に戴いたばかりの白龍(バイロン)市。
火つけや盗難騒ぎでごたつく中、
本土の領主・伍(ウー)家の使者が『白龍』就任の祝いに街を訪れることになった。
折しも、本土の染付ばかりをねらった壺盗人を探していた飛(フェイ)は、
盗人と伍家の使者の間に関わりがあるらしいと知って……。
マクシミリアンとクレイ・ハーパーの本土時代の友情を描いた短編も同時収録!
四龍(スーロン)島シリーズ初の番外編。

                                          (文庫折り返し部分より)

ってな感じで。
先にマクとクレイの本土時代の話にちょこっとだけ触れときましょうか。
ひとつ、注目点を挙げるならば、クレイがマクとの出会いを回想するシーンで、
エセ天使子マクが登場する辺りですかね?
浅見さん描く子マクも、そりゃー美しいことは美しいんですが、
なまじ将来の姿を知っているだけに、その美しさが却ってコワい…(笑)腹黒天使だよ、こりゃ。
そんな腹黒天使が、親友(?)クレイと共にいても、癒せない孤独と虚無を抱えながら、
四龍島へ渡り、本物の天使♪飛くんと運命の出会いをするっていう寸法だね!!(ホントか?)
所詮飛くんファンですから…(笑)

さて、メインのお話となる『龍を春天に放つ』。
お話の時期は、本編での『微睡む』と『花を喰らう』の間くらいと見られます。
マクと飛くんも出会ったばっかり。
後書きで著者の真堂さん御本人も仰っておられましたが、
ふたりの会話の雰囲気も心持ち(笑)初々しい感じです。
そして、冒頭に登場する飛くんの描写にのっけからどきどきです♪
気紛れな主、マクに、大春節で使った龍舞(ロンウー)の祭具を持って来いと言われた飛くん。
茶房での手伝いを終えた後、回り道を避けて花路(ホワルー)の大牌楼をくぐります。

「お……えらく、上品な兄さんじゃないか」
行き合う男の目を、はっ、と瞠らせるほどに、品のよい姿の客がひとりあった。
いや、色街の客というには、いささかいでたちが変わっている。
どちらかといえば、主人を迎えにきた素封家の身内といった風情か。
(中略)
帰りの客たちがすれ違いしなに、思わずうしろをふり返るほど、その顔立ちが端正だ。
花でも挿せば美しかろう容貌ではあるが、きり、とくちびる結んで歩む姿から、
甘さや弱々しさは匂わない。
(中略)
「おいおい、掃きだめに鶴だぜ」
どこからかよこされる声高な揶揄に、伏せていたまなざしを、す、と上げれば、
潔いなかに色香を湛えた、不思議な深さの漆黒の双眸である。

                                   (本文12頁〜13頁より)

ここの辺りの描写は全部引用したいくらい(笑)好きです♪
美人で品があって、でも決して脆弱ではない。
そして、何処となく漂う色香もある♪
この絶妙なバランスが飛くんの堪らない魅力であるのです!!(力説)

・「龍を春天に放つ」ベストオブイラスト。

今回のベストオブイラストは、お話冒頭部分の挿絵となるので、
名場面よりも先に紹介してみようと思います。
ピックアップするのは、

17頁のイラストです♪

↑で紹介したシーン直後、一見箱入り息子風の飛くんに、ごろつきが絡んできます。
それを瞬く間に伸して、裏道に入った飛くんに、羅漢(ルオハン)が声を掛け…
これを着ていれば少なくとも雑魚は寄ってこない、と、
鮮やかな牡丹が縫い取られた、花路の猛者の証である黒い袍(パオ)を着替えに渡されます。

「なるほど」
うなずきつつ暗がりへと一歩退き、着ていた白い袍の領子(リンズ)に指をかける。
手早くそれを脱ぎ落とす裸の背から腰に、鮮やかな刺青があるようだ。
絵柄が、神龍(シェンロン)。
しなやかな背筋から右の腰へと、まるでまといつくかのように、龍の銀鱗が這っている。
「往来であまりそんな姿をさらすな、飛。
せっかく雑魚を遠ざけても、かわりに物好きが言い寄ってくるぞ」
溜め息をつく連れに微笑を向けておき、着替えの黒い衣装に袖を通して、紐子(ニウズ)をとめる。

                                   (本文16頁〜18頁より)

こんな流れで、イラストは龍の刺青を露わにした飛くんとそれを眺める羅漢となっております。
鮮やかな龍を纏いつかせた背を晒して、肩越しに視線をくれる飛くんがすっごく、艶っぽいです♪
龍のうねる様を目で追っていくと、最終的に飛くんの細い腰に辿り着くという描き方が何とも…
これを彫った奴はやらしいな!と思ったり(笑)。
その背に掛かる髪が更に艶っぽさを引き立てて…ああ、えらい眼福です♪
男女問わずふらふらと引き寄せられてしまいそうです!!
「物好き」だなんて失礼だな、羅漢!あんただって見惚れてるくせに!!(決め付け)
ちなみに、この龍の刺青を彫ってくれたやらしい(笑)ひとは、のちのち登場します。

その後、取り敢えず、龍玉だけを携えて白龍屋敷へ向かった飛くん。
途中で俥に乗ったマクと出会い、戯言序でに、本土からの使者が訪れることを教えられます。
本土の伍家は、名目上は四龍島を治める領主となっていますが、
実際は独立して、四人の龍が治める島に、手出しどころか口出しさえすることが出来ません。
理由は、四龍島が、神龍が下った土地として、神聖不可侵の島であったことがひとつ。
もうひとつは、我慢できずに島を攻めさせた十代前の当主が、不慮の死を遂げたのを皮切りに、
跡継ぎが次々と、事故、病、暗殺などにより没し、
正統が絶えてしまうという不吉な出来事がありました。
その後跡目を巡って血を血で洗う争いを経た本土伍家にとって、
四龍島は一層不可侵の島となったのでした。
その後の伍家は、『龍』の家での祝いごと、
悔やみごとに行き過ぎない程度の挨拶を寄越す程度の関わりを保ってきました。
この度、やってくる使者も、表向きはその域を出ないものだろう見受けられましたが、
その使いの一行の中に、伍家の四男、正確には先代当主の息子であり、
現当主の弟が入っていることを、白龍屋敷執事の万里(ワンリー)は気に掛けます。
一番心配しているのは、得体の知れない本土の使者に対して、
マクが気紛れを起こして、無茶なことをするんじゃないか…ってことなんですけど(笑)。
飛くんもそんな万里の心配を心に留めつつ、取り敢えずは、
使者の出迎えに花路を揃えろとのマクの要請に応えるべく、準備を整えます。
一方、街のあちこちで、本土渡りの染付の壺が盗まれ、別の場所で割られて見付かる、
という一風変わった事件が相次ぎ、その調べでも花路は大忙しです。

そうして、やってきた本土の使者。
使者を迎える宴の席に、同席させられた飛くんは、そこでやっと使者の様子を確かめることが出来ます。
問題の伍家の四男、冷淵(ロンユアン)は、線の細く、
いかにも真綿に包まれて育てられたのだろう見掛けとは違い、
ものの受け答えがしっかりとした芯のある青年のようでした。
その場で、マクは、飛くんが本土にも名を知られた花路の頭であることを暴露してしまいます。
当然、使者たちはこんなに若くて、細身で(ポイント/笑)綺麗なかたが頭だとは、と驚く訳ですが、
用心棒の振りをしていろと、着替えまでさせられた飛くんは、どういうつもりだとお冠です。
宴が終わった後、責める飛くんに、冷淵だけではなく、胡(フー)と名乗った本土の使者の代表が、
先代に良く仕えた男であることを指摘した上で、街の治安に目を配る花路の頭が、
一見頼りなさげな飛くんであることを明かせば、
奴らが進んで何事かをしでかしてくれるだろうとマクは言うのですが…
単に騒ぎを起こしたいだけと見られます(苦笑)。
そのとき、ある素封家の夫人が、急な訴えにやって来ます。
内容は近頃巷を騒がしている壺盗人に関してのことでした。
そして、盗まれた壺を取り返して欲しいとわめく夫人の話を、通りすがりの冷淵に聞かれてしまいます。
手にした上着を落とし、拾おうとしたしなに、胸を抑えた冷淵を胡が支え、
彼らはその場を後にしますが…ううむ、何か怪しいぞ。

その夜、壺盗人を警戒して、富裕な者が多く住まう龍江街(ロンチャンチエ)界隈を仲間と共に、
見回っていた飛くんは、そこで夜の散歩と称してやって来たマクにちょっかい掛けられつつ、
問題の壺盗人と遭遇します。
敵が必死で抗ってきたのと、マクが邪魔をしてくれたおかげで、
その壺盗人を捕らえることは出来ませんでしたが、
飛くんたちは争う直前の彼の呟きを拾うことが出来ました。
「これも、違うのか」
と何か特別な壺を探しているらしき本土訛りの言葉。
争う最中に割られてしまった今回の壺も、本土渡りの物でした。
そこで、壺盗人と本土の使いとの間に何らかの関わりがあるのではないかと思った飛くんは、
日中は冷淵の用心棒として、彼に付き従い、様子を探ることにします。
そんな折、朝から飛くんが付き添った市街見物の最中、ずっと無口だった冷淵が、
故老蕭(ラオシャオ)館にあった槐の木に初めて興味を示します。
高く枝を張る槐を眺めながら、冷淵は育った屋敷の庭にも槐の木があったこと、
身体の弱かった彼はそれを羨ましいような気持ちで眺めていたのだと語ります。
「どんなに近しく生きていても、しょせんはかかわりのない命です。
わたしが死んだあとも、この木はなにごともなかったかのように育っていくかと思えば、
憧れるほどに憎らしくなったものでした。
(中略)……自分のものではない命を、死の淵まで道連れにできるとしたら、どんなに幸せだろうかと、
あのころは思っていました。
裏庭の槐よりも先に、自分の命が枯れることがあったなら、
ぜがひでもあの木を燃やしてくれと泣いたほど」(本文93頁)
今では考えを改めたのかと訊いた飛くんに、
ひとの命はひとの物だからと頷いた冷淵は、
先代の『白龍』に殉じた先々代の花路の頭のことについて訊ねます。
次いで、もし、マクが亡くなったときは、飛くんもその死に殉じるのかと訊ねられ、
飛くんはもし、マクが先に逝こうとするなら、無理やりにでも連れ戻す、と強気の応えを返すのです。
そして、マクはもっと強気に、飛くんが自分を残して死ねる訳がないと傲慢な返事をするだろうと(笑)。
こういう、生温い馴合いが一切ないのが、マクと飛くんの関係で特徴的なところです。
その返事を笑いながら訊いた冷淵は、あっさりと自分の身の上を明かし、
この使いを無事しおおせた後は、離家の儀が待っているのだとだけ言います。

夜には花路に戻り、夜市(イエシ)で、本土訛りの屈強な男を手掛かりに、
仲間と壺盗人を探していた飛くんですが、そこで、
知り合いの目利きだという骨董屋を探していた花路の大兄、葉林(ユエリン)の知らせで
骨董屋に出入りしている男と話をしに出向きます。
そのとき、起きた喧嘩。
スリを働こうとした少年が失敗し、怒った相手に散々殴られそうになったところを、
割って入った屈強な男。
少年を庇い、黙って殴られるだけの男を飛くんたちは助けますが、
彼らに一言もないまま、男はその場を去ります。
それから、件の男に話を聞いた飛くんは、骨董屋の元に、本土訛りの客が二組ほどあり、
あとから来た方が上客で、先に来た方が今先程下で子供を庇っていた男だと教えられるのです。
しかし、慌てて探したところでもう見付かる筈がありません。
上客の方は間違いなく伍家の人間だろうと確信した飛君は、
目下行方不明中の骨董屋探しを引き続き葉林に預け、
龍江街に網を張って今夜中に賊を捕らえる手筈を整えます。
そうして、伍家の動きを抑えるため、飛くんはまた、白龍屋敷へ戻りますが、
冷淵は胡と連れ立って密かに屋敷を抜け出してしまいます。
伍家の使者が出歩かないように計らって欲しいと飛くんが、マクに頼んでいる間、
ひそかに抜け出す冷淵の姿を見ながら、マクは知らぬ振りを決め込んでいたのでした…全くもう(苦笑)。

・「龍を春天に放つ」名場面。

すぐさま、市街へと取って返し、冷淵らが逃げたことを仲間に伝えた飛くんですが、
彼らが何処へ行くつもりなのか、見当が付きません。
そこへ、やっと例の骨董屋を見つけることができたと言う葉林の知らせで、
彼から話を聞き出せば、伍家の使いの行方も、分かるかもしれないと飛くんはそちらへ向かいます。
酒好きで偏屈らしい骨董屋は、気持ちよく酔っているところを、
無理やり正気付かせられて、機嫌が悪くなっていました。
脅しても宥めても、一向口を開こうとしない相手に、羅漢も葉林もお手上げです。
そこで、飛くんの出番。
てな訳で、今回ピックアップするのは、そんなマイナーな場面です(笑)。

「飛、頼む」
おう、と苦笑顔でそれに応じ、飛は裸の相手に上着を投げる。
「こりゃあ、花路のごろつきどものなかにも、えらい別嬪がいたもんだ」
と、目を瞠って寄ってくる骨董屋へ、褒めてもらってありがたいと、艶めいた微笑を向けておき、
「このふたりの言うとおり、本土渡りの上等の染付を持つ素封家の名を、是が非でも知りたい。
(中略)
「骨董の売り買いの仲立ちにかけては右に出るものがないと、夜市(イエシ)で聞いた。
あんたを頼るしか手がないんだ、老爺(ラオイエ)。礼といっても、たいしたことはできないが……」
「おまえさんがやさしくしてくれるかい、お若いの」
「いや、それはよしておこう。老爺のからだに悪そうだ。
それよりも、花路自慢の酒蔵に、今夜一晩入るというのはどうだろう。
青龍(チンロン)の白酒(バイチュウ)から黒龍(ヘイロン)の果実酒まで、飲みたいほうだい飲んでくれて結構だが」
乗った、と手を打って喜ぶ骨董屋を、羅漢、葉林が呆れ顔で見守る。

                                    (124頁〜125頁より)

つまりは、飛くんはジジイにもモテるのです。
ということを、伝えたかっただけです(…)。
しかし、このジジイ…偏屈のくせに、飛くんに説得された途端、
ころっと態度を変えやがりましたね(笑)。
酒がなくても、飛くんに優しくされたら、嬉しいらしい。老いても色事には興味津々なのか(笑)。
やんわりと上手く断る飛くんも手慣れてる、というか、彼、意味分かってるんですかね?
「別嬪だ」と言われたこともただの冗談だと受け取ってそう。
「優しくする」ってのも花路の猛者流に、武術の手合わせとかするつもりだったり(笑)。
しかし、骨董屋から該当する素封家の名を聞きだし、
まだ盗みに入られていないニ三の素封家を見張る手筈を整えたあと、
骨董屋を酒蔵に連れて行こうとする葉林にこっそり、杯に眠り薬を縫って置くように指示する辺り、
機転が利いてて流石という気はします。

そうして、動き出そうとした飛くんを引き止める骨董屋。
素封家ではないが、いい染付を持っているところがあるとのこと。
それは、何と、飛くんが住まっている東州茶房だったのです!
恩人でもある師父が危険な目に合っては、と必死に駆ける飛くん。
家に辿り着き、何事もなかったのに、ほっと安堵したのもつかの間、
ベスト(?)タイミングで賊が侵入します。
確かに伍家と関わりがあると見える賊を今度こそ取り押さえ、
縛り上げようとしたとき、白龍屋敷から抜け出した冷淵たちが、茶房を訪れます。
冷淵の声を聞いた途端に、体を震わせ、腕を縛りかけていた紐を引きちぎって逃げる賊。
鍵を壊されていた門楼の扉が開き、そこに佇む冷淵と賊の目が合います。
すると、背後の胡が懐から拳銃を引き出し、賊に向かって撃ち放し、冷淵が賊の名を叫ぶのです。
「槐(ホアイ)」と。
塀を越えて賊が逃げ去ったあと、倒れた冷淵を呼び出した花路の医生(イーシェン)と共に、
白龍屋敷へ連れ帰った飛くん。
そこで、やっと彼らの事情を聞くことが出来ます。
彼らが探していたのは、封龍(フォンロン)の壺。
伍家の数代前の当主が、出来心で焼かせた物で、四龍島の四匹の龍を封じ込める意味で、
底に龍を描いた壺です。
このことが知られては問題になると言うので、その後壺はすぐに壊されたそうですが、
白龍を封じる壺だけが、壊されずに残り、寄りにもよって四龍島へ渡ってしまったというのです。
その珍殊を抱いた龍を底に描いた壺を探しに、冷淵と胡はやって来たのでした。
壺探しに協力することになった飛くんは、冷淵と行動をともにする間に、賊の正体を知ります。
賊の正体は冷淵に仕える槐という名の青年でした。
彼にその名を付けたのは、冷淵です。
名もない孤児で盗みを働きながら命を繋いでいた彼が、追われて冷淵が住まう庭に飛び込んできたのに、
偶然出会った冷淵は、力強く生きる姿に庭の槐の木を重ねました。
名前がないという彼に、伍家男子より名を与えられた者は、
その命をもって主に報いなければならないという昔のしきたりを聞いて育った冷淵は、
彼に「槐」と名を与え、代わりにその命をくれと願ったのでした。
自分に名前と居場所を与えてくれた冷淵に深い恩義と忠誠を感じている槐は、
封龍の壺を壊させない為に動いているのだろうと冷淵は言います。
彼が無事壺を見つけて本土に帰った後に、待っているのは離家の儀。
この離家の儀っていうのがですね、以前直系が絶えた際の凄まじい争いを教訓にできたもので、
直系の血筋が絶対であることを守る為に、当主の兄弟が折を見て、伍家の姓を捨てると同時に、
子を持てなくなるように身体に傷をつけるという儀式だそうで…
子を持てなくなるようにってことは、恐らく、
中国の宦官になるひとに施される処理と似たようなものではないかと…うわあ…厳しい(汗)。
あれって、健康な人でも生死の境を彷徨うほどの苦痛と衝撃があるんですってね…
当然ながら、身体が弱い冷淵がそんな離家の儀に耐えられることはなく…
その主の命を奪う離家の儀を取りやめさせる為に、槐は動いていたのです。
そう事情を話した冷淵は、何としても槐よりも先に壺を探し出し、
彼を本土に帰らせないようにして欲しいと飛くんに頼むのでした。

肝心の壺がどうあっても見付からず、白龍屋敷主催の壺比べをおこうなことで、目当ての壺を探すことにした飛くんたち。
その後、槐自身とも出会い、彼の冷淵への思いを直に聞かされて、
飛くんは改めてふたりの絆を感じます。
一目、冷淵に会いたいという槐の言葉に心が揺らいだ隙に、またも彼には逃げられてしまいますが、
飛くんは彼が冷淵の元へやってくるに違いないと確信し、冷淵にそう告げます。

そして、ふたりのことについてマクに話しているとき、ふと飛くんは事情の喰い違いに気付きます。
胡は槐が無断で伍家を飛び出した、と語り、
槐は先代当主に暇を貰う許しを得て、四龍島へやって来たと言っているのです。
また、それまで大切に育てていた冷淵をこのような難しい使いに出したこと、
先代の『白龍』が存命中にありかが知れていた壺を数年そのままにしていたこと。
飛くんは、そこに伍家先代当主に何らかの意図があるのではといぶかしみます。
そのとき、客房から銃声が聞こえ、駆けつけると、見張りの目をかいくぐってやってきた槐を、胡が撃ったところでした。
槐を庇って、腕から血を流しながら立ちはだかる冷淵を、槐は連れて逃げようとします。
そんな彼に逃げろと言い、冷淵は取り出した小刀を自らの喉にあてがいます。
槐のしようとしていることは、自分から伍家の誇りを奪うことだと言い、
恐らく自分は槐に自分の代わりに生きて後の世界を見届けて欲しくて傍に置いたのだと告げます。
命までは連れて行けないという冷淵ですが、槐は承服できません。
伍家の誇りを捨てるくらいならと命を絶とうとするのを、
すんでのところでとめたときに、表からの知らせがきます。
壺比べに持ち寄られた壺の中には目当ての物はないという知らせ。
更に、老蕭館が家事だという知らせがやってきます。
そのとき、問題の壺が老蕭や方にあるかもしれないと気付いた面々。
一足先に、冷淵の小刀を叩き落して、飛び出していった槐。
玩具を横取りに行くと、マクも踵を返し、その後に続こうとした飛くんは、胡に、
使いの誰かが客死をしても伍家は白龍を咎めないとの先代当主の指示があったことを確認します。
冷淵と胡に、この件に関する読み違いを指摘して、あとから老蕭館に来てくれるよう頼んだ飛くんは、
急いで老蕭館に向かいます。
そこでは、ついに槐が封龍の壺を見つけ出していました。
必死になって話を聞く余裕のない槐と渡り合い、
次には気紛れを起こしたマクの邪魔が入りつつも(苦笑)、何とか壺を手にした飛くん。
一同の前で、飛くんはそれを槐に持たせます。
驚く彼らに、先代の望みが、伍家を離れた槐が、冷淵のあとを追うことを知った上で、
冷淵が使いの途中、客死したと偽って四龍島に留まることだったのだろうと、飛くんは語ります。
背くことの難い伍家のしきたりを封龍の壺に掛けて、それを壊してこいと命じたのではないかと。
いやあ、飛くんは頭が良いね♪←贔屓目です。
壺を抱いて、これからもともにあることを許して欲しいと請う槐に、
冷淵はやっと本当の気持ちを口にします。
初めから、自分が望んでいたのは、槐の命ひとつだったのだと…何かじ〜んと来ます(涙)。
そうして、冷淵と槐はふたりで封龍の壺を割るのです。

その後、マクが本土育ちであったことを逆手にとって、先代当主が冷淵を寄越したことを、
マクに気付かされ、読み落としがあったことに舌打ちする飛くんでしたが、それも些細なこと。
悪戯な問いを投げ掛けてくる相手に、憎まれ口を叩きつつ、
飛くんはマクが自分のことを名で呼ばないことを聞いちゃったりしています。
マクは乞われれば呼んでやらなくもないと、相変わらずのいけず振り(笑)。
屈託なく微笑む冷淵の笑顔を見て、安堵する飛くんですが、
彼のからだがこの夏を越えることが難しく、この春が最後だろうとの花路の医生の言葉を思い出し、
密かに、心を痛めるのでした。
離家の儀を免れても、短い命なのね……うう…切ない(涙)。
そして、飛くんは優しいね!!←病気です。

こうして、本土の使い絡みの事件はひとまず幕を閉じます。
冷淵が亡くなったあと、槐は花路に入ったんじゃないかと私は勝手に思っているのですが、
どうなんですかね?
それとも…後を追ったのでしょうか…?(どきどき)

そして、毎度長々しい今回のれびゅもこれにて終了です!
最後まで御覧頂きまして有難う御座いました!!!


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